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Re:         恋時計     ( No.32 )
日時: 2010/11/20 14:22
名前:  苺羅、 ◆m.d8wDkh16 (ID: zc76bp3U)
参照: http://p15.chip.jp/baira612




 第9話



 「……んだよ、うるせぇな」



 龍夜が不機嫌そうな顔を、浮かべながら窓をにらみつけた。
 私だってうるさかったけど、とりあえず部活を続けようと思い、無視して演奏した。



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 「あーもう! 鈴野まじ五月蠅かった!」
 「だよねっ、いい加減にしてほしい!」


 帰り道、女子の先輩達が、そう叫んでいた。
 鈴野……?
 私が、鈴野という名前が気になっている時、絵磨が話しかけてきた。


 「鈴野って愛可だよ、あの声は絶対愛可だよ」
 「呼んだ〜?」


 甲高い女子の声がして振り向くと、そこには愛可が立っていた。
 鈴野愛可、もしかしてこいつが……。


 「いっつもねぇ、優志と怜緒に手紙だしてたんだけどぉ、やっぱ積極的に、ね?」


 だから愛可は、今日は2人を声が張り裂けそうなほど、応援していたらしい。
 愛可は「じゃあね♪」といって去っていった。私も絵磨も、呆然と立ち尽くしていた。



 「まさか……愛可が……ねぇ」
 「うん……愛可かよ、ってかんじだよね」



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 次の日。私達は昼休み、他愛のない世間話をしていた。けど、いつしか愛可の話に変わった。
 すると突然、隣から誰かが話しかけてきた。吃驚して、隣を向くと……。


 喜嶋崇が、この世の終わりとでも言うかのような、表情を浮かべていた。


 「げっ、きーちゃんどうしたの!?」
 「あぁ……絵磨……俺、愛可が好きなんだ……」
 「へぇ」


 そりゃあ、好きな人に好きな人がいたら、嫌だよね……。
 けどきーちゃんは、諦めはしないと主張した。……これは、いける!?
 愛可をきーちゃんとハッピーエンドにすればっ、ウチらはライバルいなくなるし!

 私は、絵磨と目を合わせてガッツポーズをしてみせた。


 「がんばろうよ! うち、きーちゃんの恋応援するよ! ねっ」
 「……そっかあ、ありがとう……香織、絵磨」


 


 「ねぇねぇ、2人ともぉ、一緒に帰ろうよぉ」
 「え……」


 部活が終わり、皆が帰宅時間になると、愛可は2人にそういった。
 愛可は帰宅部なのに、こんな時間までずっと応援しているのだ。
 もちろん今日も、同じ運動場にいる運動部だけでなく、室内の文化部にまでうざがられた。


 困惑する優志と怜緒。私だって、愛可と帰られるなんてやだし、きーちゃんだって嫌だ。


 「ほらっ、きーちゃん、あんたも誘えっ」


 絵磨の一言で、男、きーちゃんは立ち上がった。物陰から、愛可のところへ姿を現した。


 「……ん? あ、喜嶋君!」
 「あのっ、そのっ、今日も……応援頑張ってたね!」
 「そぉ? ありがとぉ!」
 「でさ……その、一緒に、帰らない?」


 よしいった! きーちゃん! 愛可は少し考えると、返事をした。

 「いいよっ、4人で帰ろぉ」
 「……えっ俺ら強制参加?」


 優志がそういった。しかしそんな優志の言い分は無視して、“4人で”いってしまった。



 「香織……」
 「絵磨……」
 「これさあ、成功した?」
 「……きーちゃん的には、五分五分だけど……ウチらは……」


 絵磨のか細い問いに、私も同じようなかんじで答えた。