コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re:         恋時計     ( No.49 )
日時: 2010/12/10 19:28
名前:  苺羅、 ◆m.d8wDkh16 (ID: zc76bp3U)
参照: http://happylovelife612.blog27.fc2.com/





 第13話




 8年3組に近づくにつれ、おいしそうなお好み焼きのにおいがしてきた。
 私はさっき食べたばかりなのに、もうすでに食欲がわいてくる。今日は食べすぎ!
 明日はあんまり食べ過ぎないように、あと運動とかしなきゃな〜。


 「あっ、きてくれたのね!」


 花先輩が、私達の姿を確認するとそういった。花先輩は、汗をたらしながら、一生懸命お好み焼きを作っていた。とりあえず、皆はお好み焼きを注文する。


 「ありがとうございま〜す」



 金券を渡すのは、別の人だった。私は、花先輩が作ったお好み焼きを手にすると、適当な席に座ろうと、周りを見渡した、そのとき。


 「あっ、お前らそこにいたのか!」


 健先輩が、目を丸くしながら、孝文と龍夜のほうをみてそういった。2人は仲良く向かい合いながら、お好み焼きを頬張っている。


 「こんにちは先輩、このへん今空いてますよ」
 「おっ、じゃあその辺座ろうかな」



 私も、絵磨と一緒に孝文と龍夜に近い席に座った。そして、お好み焼きを一口頬張る……。


 「きゃあっ、超おいしいね!」
 「だね〜」


 こんなにおいしい料理を、中2で作れちゃうなんて、さすがは花先輩だと思った。
 
 これは、前に凛子先輩から聞いた話だけれど、千崎家の両親は、2人とも仕事が忙しく、いつも朝の6時ごろに家を出て、帰ってくるのが深夜の1時頃になるらしい。今年、最後に顔を見たのは、お盆のときだそうだ。

 両親が仕事が忙しくなり始めたのは、花先輩が小6のころで、このあたりから、花先輩は家事や料理の勉強をはじめたらしい。



 ……でもっ、とりあえず、このお好み焼きは本当においしい! 私は人目を気にせずに、口まわりにソースがついても気にせずに、下品に食べた。


 「うわ姉貴、きったねぇ。それでも女かよ」
 「おいしいんだから、仕方ないじゃん」


 龍夜から突っ込みをいれられて、私ははじめて我に返った。私は急いで、ハンカチで口を吹く。



 「……そろそろ、12時半だし、音楽室いこう」



 純也先輩のその声で、店番をしていた花先輩も、エプロンを脱いで、皆で音楽室へ向かった。



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 「やば、超緊張するんだけど」



 絵磨が、自分の胸を押さえながらそういった。私は「やばいよね」といって、深呼吸した。


 「なーなー、もし間違えたらどうする?」
 「とりあえず気にせず次へいこう。やり直ししたら、台無しになるからな」


 孝文と龍夜のそのやりとりを聞いた途端、アナウンスがかかり、私達は舞台に立った。



 「皆さんこんにちは! 私達は今日が初舞台です! 暖かい応援よろしくおねがいします!」


 絵磨がマイクをもってそういうと、観客席のところどころから、拍手が起こった。
 にしてもさっきの、純也先輩たちや、桜先輩たちのバンドのときの、歓声はすごかったなー。


 「じゃあ自己紹介しまーす! あたしが、ボーカル兼ギターの、久保絵磨でーす!」


 そして絵磨は、最後にギターを少しだけ演奏してみせた。観客席は喚く。
 あっ、自己紹介の最後に、演奏がいるのか。



 「ベースの七瀬龍夜です、どうぞよろしくおねがいします!」
 「ドラムの三井孝文でーす! 応援よろしくーっ!」



 あ、やば、次じゃん……よし、こうなったらもうやっつけでいっちゃえ!



 「キーボードの七瀬香織です、ベースの龍夜の姉ですっ!」



 それで、私は適当に指を、鍵盤の上に走らせた。自分的に結構なめらか…にできたとおもう!



 「じゃあ、早速1曲目いってみましょー」




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 「はぁ、緊張したした!」
 「もうおわりかぁ〜」


 5〜9年生の舞台鑑賞がおわり、私達は舞台裏でリラックスしていた。時計を見ると、もう午後5時。
 文化祭の後片付けを終えて、私達軽音楽部は、皆で校門を出た。



 「皆お疲れ! 俺はこの文化祭でおわっちまったけど、皆は来年も頑張れよ!」


 大和先輩が、最高学年の先輩らしい一言を皆に告げた。


 「大和先輩、引退しても音楽室きてくださいね!」


 純也先輩が、にこにこして、いった。