コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 恋時計 ( No.73 )
- 日時: 2011/01/06 23:26
- 名前: 苺羅、 ◆m.d8wDkh16 (ID: 7zw0g7CO)
- 参照: ▼ 若干書き方かぇました 枠が広くなってる!
第17話
3学期も半ばになり、私達6年生は卒業を間近に迎えた。といっても、中学になってからも、先生は大抵同じだし、小中一貫だからこの学校自体を卒業じゃないんだけど。けど、違う小学校の子も何人かくるんだよねー……まあ私は、絵磨や少数の人と仲良くできれば、それでいいや。
「ねぇ、香織本当に今日実行するの?」
「うん! ……頑張るって決めたから」
少し心配そうな表情で、聞いてくる絵磨に私は、自信たっぷりの顔で返事をした。実は今日、優志と一緒に帰ろうと思うんだよねー方法は偶然を装って……みたいな。
完全下校時刻を知らせるチャイムが鳴り、部活が終わった。胸の鼓動が高鳴る。……どうしよう、やっぱ絵磨と帰ろうかな。不安になって、絵磨に「やっぱ一緒に帰ろう」と言おうとした、そのとき、桜先輩が話しかけてきた。
「香織ちゃん、今日優志君と帰るんだって?」
「え、あぁ……なんで知ってるんですか?」
「言ってたじゃない、香織ちゃんが」
「あぁ……そうですよ、はい!」
「じゃあ一緒に優志君のとこまで、ついてってあげる」
桜先輩にそういわれると、断るに断れないので、一緒に門までいって優志を探した。今は、4年〜8年の部活帰りの生徒でごったがえしている。……優志が先に帰ってたら、いいのに、なんてまた私は逃げている。これくらいのことはしないと、優志の隣にいれないのに。
「あっ、いたいた! 1人だよ、いっといで」
桜先輩に軽く背中を押されて、私は勝手に脚が動き始めた。……こうならやるっきゃないよね、うん! 私は「あの……」と優志に話しかけた。優志は驚いた表情で、こちらをみる。
「何?」
「あっ、あの……なんか帰る相手みんな見失って……不安だから、方向一緒だから、一緒に帰ってもいい?」
「……必ず誰かと一緒じゃないといけないのか?」
「うっ、うん! 昔からのクセで……」
私がそういうと、優志は何も言わずただただ歩き続けた。否定しない、だったら一緒に帰ってもいいのかな……そうおもい、私達は歩き続けた。確か……文化祭前に、一緒に帰った記憶がある。その前は、ずっと昔だった。
「優志は、私立受験とか……しないの?」
「しねぇよ、てかしてたらもう部活引退してるっつーの」
そっか、私立にいく人は6年生で部活引退するんだ。……ということは、中学校も優志と一緒……嬉しい! 中学ではまた同じクラスになれるかな。それから、私達はあまり喋らず、帰宅した。
「そうだ、絵磨にメール送ろう!」
「一緒に帰ることに成功♪……送信っと」
返信はすぐにきた。
「 よかったじゃん^□^!!
この調子で明日も頑張れ〜`・ω・´
ウチも頑張らないとなあ〜(笑) 」
私はそのメールをみて、布団の中にはいった。……あああああ、優志の横顔、声。帰ってるときは恥ずかしくて、考えられなかったけど、今は……全てが愛しい。会いたい、優志に会いたい、早く明日になればいいのに……。
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それから私は、毎日毎日優志を帰りに誘った。あまり話さないけど、隣にいるだけで恥ずかしくて、けど嬉しかった……結構な進展……かもしれない。それがずっと続くと思ってた、けど、それは甘かった。
3月に入り、卒業まであとわずかになったころ、私は部活が終わり、優志の……愛しい人の、背中を探した。
「あっいたいた……! 優志」
私は優志の元へ駆け寄った。優志はくるりと振り向く、いつもならおどけたような、ぽかんとしたような、そんな柔らかな顔なんだけど、今回は違った。冷め切ったような表情を浮かべている。私はまた別の意味で、鼓動がどくんと震えた。
「……お前さ、他の奴いねぇのかよ?」
「え?」
「久保がいるじゃねぇか、なんで帰らないんだよ」
「…………」
なんで、なんで、そんなことをいうのか分からなかった。
「あのさ、俺男でお前女。一緒にいたら変な勘違いされるじゃねーか。だからもう毎日、一緒に帰るのやめようぜ」
「え……」
「俺今日クラスでいわれたんだよ! 七瀬と優志は付き合ってるのかって」
優志はなんだか、ものすごく険しい表情でそういった。嫌……なの、私と噂を立てられること。まあ迷惑……だよね、当たり前だ。男女2人で毎日一緒に帰るなんて、“好きでもない人”と一緒にいるなんて。迷惑だ、そうだよ迷惑……。
「ごめん」
私はそれだけいって、零れそうな涙をぐっとこらえて、門を走ってでた。みんなの視線が刺さるように痛いけど、そんなの今はどうでもよかった。
「お前、名前なんていうの?」
「……七瀬……香織……」
「ふーん、香織か! 俺三井優志! 家近いな、よろしく!」
「……あ、うん」
男女の2人の仲がよくても、それがごく普通の事だった幼稚園の時。私は君とであった。けど今は……もう……。小6なんだよ、まだ6年しかたってないんだよ!? なんで2人で帰っちゃいけないの……。
時計の針は、思った以上に進んでいた。君は私の知らないうちに、大人になっていた。きっと私も知らない間に、肉体は大人になったはず。けど……過ぎた時間は、二度と戻らない。
私の足元には、大量の水滴が零れた。