コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 恋時計 ( No.74 )
- 日時: 2011/01/07 13:37
- 名前: 苺羅、 ◆m.d8wDkh16 (ID: 7zw0g7CO)
- 参照: ▼ 冬休み終了とかね−ω−学校怠い、4組5組面子無理
第18話
私はそのまま、夕日が差しかかる帰り道を走った。時々漏れる嗚咽で、私は立ち止まった。息が切れる、苦しい。それでも私は走った。……いた! 私の探していた、絵磨。私の足音で、絵磨はくるりと振り向いた。そして、私の顔を見て驚く。
「どうしたの!? その顔……何かあったの!?」
「ううううう……絵磨ぁああ〜」
私は、絵磨をみて安心したのか、絵磨に抱きついて更に声を大きくして泣いた。ここはあまり人目も入らないし。そんなことより、私は絵磨に甘えたかった。話を聴いてほしかった。
「……家……まで、きてくれる? 話すから……」
「うん、いいよ一緒にいこう」
絵磨の優しさは、傷ついた私の心を癒してくれる気がした。私は鼻水をずるずるしながら、家にたどり着いた。玄関の靴を見る、今は誰もいないらしい。私は絵磨を後ろにつれて、自分の部屋にあがった。
「ごめん……お菓子とかはあとで用意するから……うっ」
「今はいいよ! とりあえず……話して?」
私はさっきあったことを、存分に話した。時々オーバーに、時々嗚咽を漏らしながら、ゆっくりと。絵磨はなにもいわず、相打ちをうって優しい顔で聴いてくれた。絵磨のそういうところが、私は大好きだ。全部話し終えたころには、何故だか涙はとまっていた。
「そっかあ、酷いよね三井君も。まああれだよ、三井君ってさ、昔からそういうとこあったじゃん? あたしだって小1から三井君知ってるから……」
「……確かに、優志は、昔から酷いことばっかりいってた……」
「アイツはああいう性格なんだって。あんまり真に受けないほうがいいと思うなー……けど、香織は悲しかったんだよね……」
そういって、絵磨は私をそっと抱きしめてくれた。暖かくて、ホッとしたし、また涙腺が崩れて、涙が零れた。……絵磨は、どうしてそんなに優しいの?
それから、今までの優志の話とか、色んな話をして、真っ暗になってしまった6時過ぎまでいて、絵磨は帰る準備を始めた。そのころには私も、すっかり元気を取り戻していたし、あまり今日のことは考えないようにするようにした。
「あっ、そうだ香織」
「何?」
「……あのね、今日言いそびれたけど、桜先輩たちが明日、私達にだけ特別に、卒業ライブの演奏を聞かせてくれるんだって」
「まじで!? でもなんでまた?」
その理由が私にはわからなかった。
「……あたしらも一応卒業でしょ? 当日は9年生以外は聴けないから、だから」
「そっかあ……」
普通に考えたら、そういうことになるよね。私はなるほど、と頷いた。そしてしばらくして、絵磨は家に帰った。卒業ライブ、確か私が8年生になったら担当するんだっけ、上の学年が皆いなくなるから。でもあと2年、そうおもうと、時が過ぎるのって速いなぁ……。