コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re:     恋時計     ( No.88 )
日時: 2011/01/15 16:27
名前:  苺羅、 ◆m.d8wDkh16 (ID: 7zw0g7CO)
参照:  ▼   バレンタインね、渡すよわたしますん




 第21話



 「あ〜っ!」


 7年生になって、早1週間が経過。ちょっとずつだけど、新しい生活にも慣れてきた。今は休み時間、どうやら絵磨さん、お怒りのようです。……その理由は。

 「もぉ怜緒〜っ! シャー芯貸してってばあっ!」
 「えー……俺持ってないし」
 「うそぉ! さっき使ってたじゃんもぉっ!」

 教室中に響くほど大きな声の、愛可と怜緒。愛可は怜緒にべったべた。

 「もぉいいよぉっ! 怜緒なんかしらないからぁ」

 そういって愛可は、どすどす足音を立てて教室を出て行った。

 「ほら愛可いったよ、絵磨、怜緒のとこいこうよ」
 「え〜……あっ、じゃあまず4組行こう!? そしたらうちも怜緒のとこいくから!!」

 絵磨は突然立ち上がって、私の腕を引っ張った。あ〜ちょ、ちょっ、ぎゃ〜! ん? 4組前に愛可がいるし……。その光景を見て、私は思わず口をあんぐりあけた。

 だってさあ……優志が愛可と喋ってるんだもん。他数名の男子をいれて。

 「ってことでぇ、誰かシャー芯貸してよぉ」
 「嫌だよ、てかお前シャー芯持ってないのかよ」
 「持ってるけどぉ、家なの! お願い優志〜」

 げっ愛可、優志の腕を思いっきりつかみやがった! 何コイツ……。私は「はぁ〜」とため息しながら、教室に戻った。すると、絵磨が口を開いた。

 「てゆかさ〜愛可、二股とか意味不明だよね」
 「愛可、2人両方同時に付き合いたいんだって〜」

 急に、違う声がして驚くと、そこには絵里那が立っていた。絵里那は「なんか愛可が森野にいってるのを聞いた」と言う。私は、なんだか愛可に腹が立ち、口をあけた。

 「何それ! ……あ、きーちゃん」

 私は、教室から出て行こうとする、きーちゃんを呼び止めた。きーちゃんは「何?」といって振り向く。

 「愛可とさ、頑張ってる? 最近」 
 「え〜最近喋ってない、あっ……ま、マイスイート天使!」
 「え?」

 きーちゃんの声色が急に変わったかと思うと、きーちゃんの頬は赤くなった。漫画で表したら、きっとハート目。その視線の先には、愛可がいた。

 「あ、喜嶋君〜っシャー芯もってなぁい? 他の男子みーんな意地悪なのぉっ!」
 「えっ、も、ももももちろん! いいよ!」

 きーちゃんはゆでダコのようになりながら、自分の机へ向かった。……優志、愛可にシャー芯貸さなかったんだ。……ちょっとだけ、ホッとした気分。
 このまま、愛可がきーちゃんと付き合えばいいのに。なんて私は、人任せ。……だってさ、怖いんだもん。また、あんなこといわれたら、嫌だもん。

 正直いって、諦めたかった。諦めさえすれば、嫌な思いしなくてすむ。けど、諦めれない……本当は、前にあんなこといわれてから、諦めたつもり、だったんだけど……だけどね、春休みの事だった。

 私は、絵磨と一緒に買い物したり、プリクラ撮ったりして遊んでいた。すると絵磨が「トイレいってくるね!」といったので、私はベンチに腰をかけた。

 「ふ〜……ん? あ、あれって……」

 私は、遠くから近づいてくる人物を、見た。あれは、優志とそして数名の男子。げっ……なんでここにいるんだよ。

 「優志どぉーん!!」
 「うわあっ」

 変な男子が、優志を思いっきり突き飛ばした。……遊びのつもりなんだろうけど、優志はそのまま勢いよく吹っ飛んで……こちらにガッシャーン! 優志の背中が、ベンチにあたる鈍い音がした。
 ていうか、私の膝に……優志の肘があたってるんですけど。

 「うわあごめん優志! 大丈夫か!」
 「えっ、あっ、うん」

 やべっ、私は逃げようと思い思わず立ち上がった。その時……優志がこちらをみた。ああああ、万事休す。

 「ごっ、ごめん香織! 大丈夫だったか?」
 「あ……私なら、大丈夫」
 「うわー誰かと思ったら、七瀬香織かよー」

 男子がそういうと、優志たちはどこかへいってしまった。……今「ごめん」っていったよね? 優志。嘘っ、まぢで!? 優志に限ってそんな……夢?

 そんなにふいに、優しさとかみせられたら、諦められなくなった。好き、やっぱり私は優志が好き。諦めるなんて、無理だよ……。