コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re:     恋時計     ( No.89 )
日時: 2011/01/15 17:13
名前:  苺羅、 ◆m.d8wDkh16 (ID: 7zw0g7CO)
参照:  ▼   バレンタインね、渡すよわたしますん


 第22話



 4月も終わりに近づき、もうすぐゴールデンウィーク!! でもその前に……今日は、新4年生の部活見学の日。軽音楽部に、何人くらい生徒くるかなぁ……まぁ3・4人くらいきたらいいほう? そんなことを思っていると、突然廊下の方から、五月蠅い声が聞こえてきた。……そして、音楽室のドアがスライドされる。

 「こんにちは〜!!」

 4年生の大群が、音楽室に入ってきた。えっ!? なにこれ、何人いるの!? いきなりの訪問で驚いたが、純也先輩はさすが部長、「はい、とりあえず皆座って〜!」といって、皆をまとめた。

 「今日はみんな、軽音楽部の見学にきてくれたのかな?」
 「はいっ!」
 「そうか、じゃあ思う存分みてってくれ! あ、向こうの準備室はダメだぞ、あと楽器も勝手に触るなよ!」
 「はいっ!」

 4年生は元気な声でそういうと、あちこちに散らばりはじめた。「ギターすげぇ」とかいいながら、見ている。私達はというと……何故か、音楽室の端にいた。

 「おいお前ら、そんなとこいないで、4年生と関われよ」
 「え〜だって居場所ねぇし」

 健先輩がそういった。すると、純也先輩が私達のほうに近づく。

 「何いってんだよ、説明してやれよ、ベースはこんなのとか」
 「んじゃあ〜あたしいってくる!」

 最年長、花先輩が4年生の所へいった。ちなみに花先輩、本当は部長になるはずだったんだけど、「まとめる自信ない」といって、純也先輩が部長になったんだよねぇ。

 「ねぇねぇ貴方達、なんで軽音楽部に入ろうと思ったの?」
 「え〜……」

 花先輩が話しかけた女子は、言葉を詰まらせる。そして、楽器に視線を戻した。なっ……なんだこの子は! 花先輩は沈黙を浮かべたまま、純也先輩のところへ戻った。

 「やっぱり無理よ……」
 「何いってんすか! 後輩ですよ!?」
 「……無理よ、ねぇ桜たち皆もさあ……4年生のとこいこう、一緒に」

 花先輩の声で、私達はやっと音楽室の端から移動した。えっと……あら、あの女の子たちかわいい! あの子たちならきっと、素直に答えてくれるはず。私は、絵磨に孝文に龍夜をつれて、行った。

 「ね〜え、私達と入部したらバンド組もう!?」
 「えっ」

 女の子数名は、驚いた表情で私を見ると、数秒沈黙した。

 「……もしかして、その後ろの2人も貴方と一緒のバンドですか?」
 「えっ? そうだけど……」

 1人の女の子は、龍夜と孝文をみながらそういった。すると突然、別の女子が鼻で笑った。

 「やぁだ〜あたしたちぃ、ガールズバンドがいいんですぅ、男なんか絶対お断りですぅ〜」
 「……おい」

 龍夜がキレたような口調で、女の子に話しかけた。

 「……女子だけのバンドならあそこにいるけど」
 「あぁ、ありがとうございますぅ〜!」

 女子は、そういって桜先輩たちのほうへ向かった。すると、孝文が怒りながら口を開いた。

 「何だよあいつら、きめぇな! 何が男お断りですぅ〜だよ!」
 「まぁまぁ……礼儀ってもんしらねぇんだよ、アイツら」

 龍夜が腕を組みながら、さっきの女子を睨んだ。
 なんかなんか……皆、全然礼儀もなにもなってない、奴らばっかりなきが……あの男の子なんか、楽器触ってるし……準備室のドアあけようとしてるし……。

 「えぇ〜! これがこの学校の軽音楽部のガールズバンドぉ!? 去年の文化祭と一緒じゃ〜ん!」
 「そりゃだって、私達まだ卒業してないもの」

 桜先輩が平然を装って、さっきの女子にそういった。

 「へ〜ぇ」

 すると、その女子は次の瞬間……——



 「レベルの低い奴らばかりですねぇ〜、こんなブスな人とやりたくないし〜、いこみんな〜」


 その女子の発言で、辺りはし〜んと静まり返った。とおもったもつかのま、突然鈍い音が響いた。……里子先輩が、壁を蹴った音だ。


 「おいてめぇら! 先輩なめてんじゃねぇぞ! 侮辱しにきたんならとっとと帰れや粕!」
 「きゃーっ!!」

 里子先輩の怒鳴り声で、4年生たちは一気に教室からでていった。……里子先輩怖い……けど、ナイスっ!?

 「……あ、ごめん、せっかくの新入部員候補が……」
 「いいのよ里子! あたし、あいつらが入部するなんて絶対嫌だったし!」

 凛子先輩が険しい表情になってそういった。つづいて、純也先輩。

 「……けどさ、大丈夫かな、先生にチクったら……ゆくゆくは、軽音楽部強制廃部とか……」
 「それはないでしょ、私達のバンドはコンクールで、優勝したし、そんな簡単には……」

 桜先輩が、少し自信なさげな顔で言うと、健先輩が別の方向を見て呟いた。

 「あれっ、なんか1人いるぞ?」

 音楽室の端に、ぽつんと見慣れない男の子がいた。その男の子は少し太っていて、ぽかんとした顔で、こちらを凝視している。純也先輩が、その子に近づいた。

 「……あの、君、もしかして見学?」
 「そうです」
 「おぉおおおおっ!!」

 私達は、喜びで歓声をあげた。

 「今きたのか?」
 「ううん、みんなと一緒にきた。で、僕だけ残ってるの」
 「え、さっきのあのお姉ちゃんが怒鳴ったの、怖くなかったのか?」

 純也先輩が、里子先輩をチラ見していった。

 「ちょっと怖かったけど、僕何もしないで突っ立ってたから……」
 「そっかそっかあ!」

 純也先輩は、急にその男の子を抱きしめた。

 「僕、入部するんでよろしくおねがいします!」

 そういって男の子は、音楽室を出ようとしたが、健先輩が呼び止めた。……実は、純也先輩と健先輩、大和先輩が卒業しちゃって、今2人の状態。ベースがいないのだ。

 「俺たちの演奏きいてって! な?」

 男の子は、黙って頷いた。