コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 恋時計 ( No.95 )
- 日時: 2011/01/16 16:47
- 名前: 苺羅、 ◆m.d8wDkh16 (ID: 7zw0g7CO)
- 参照: ▼
第23話
純也先輩と健先輩の演奏が終わると、男の子は「すごかったです! では入部するのでお願いします」といって、出て行ってしまった。私を含め、皆あっけにとられた。
「あー……いっちゃった、俺らの演奏まずかったかな?」
「そんなことないわっ、超かっこよかった!」
凛子先輩は、目を輝かせて、2人(とくに純也先輩)をべた褒めした。
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そして、ゴールデンウィークもあけ、いよいよ4年生初部活! 私達は集まって、男の子がくるのをまっていた。しばらくすると、男の子が「こんにちは!」といって、入ってきた。「うぉっしゃあー!」という歓声があがる。
「よし、全員集まったところで、自己紹介! まず俺は部長で、ギターボーカルの二十純也!」
純也先輩が自己紹介すると、皆順番に自己紹介した。最後に、男の子が口を開いた。
「本井重といいます、4年1組です、お願いします」
「重君か、なんでこの部にはいろうとおもったの?」
桜先輩が、いつもの笑顔を見せて聞いた。普通なら「ギターがしたいから」とか「音楽が好きだから」とかいうだろう……けど、重君は違った。
「お好み焼き!」
「は?」
重君を除く、私達全員の声が重なった。
「3年生の文化祭の時に食べた、お好み焼きがすごくおいしくて……評判で……それを作ってる人が、この部にいると聞いたんです! それで、ここにはいったら、毎日おいしいものが食べれると思って!」
……数秒間の沈黙のあと、里子先輩が口を開いた。
「……食べ物目当てなら、家庭科部はいればいいのに」
「あ、僕も思ったんですけど、あそこ女子ばかりであと、裁縫がメインなんで……」
「残念だけど、毎日おいしいものなんてないわよ」
花先輩が呆れ顔になって、そういった。すると、重君は突然後ろを向いて、ドアの方に歩き出した。
「そうですか、ではいいです」
「ちょちょちょちょちょ! ちょいとお待ち!」
純也先輩は、必死に重君をとめた。そして、健先輩と何か話し始める。
「……どうしよう、もう重逃したら、ベースいないぞ」
「そうだなー……どうしよう」
2人が考えていると、花先輩が重君のもとへいった。
「ねぇねぇ、毎日は無理だけど、おいしいものあげるわよ。お休みの日に私の家おいで……まぁ、この部にはいったらだけどね」
「そ、それなら! やります!」
なるほど……ていうか重君、そんな入部理由で大丈夫かなー?
「じゃあさ、したい楽器とかあるか?」
「……ない」
「よし! じゃあベースやろう!」
「俺持ってきます」
龍夜が、準備室へ足を運んだ。しばらくして、ベースを持ってきて、それを重君に渡した。
「よし、じゃあ悪いけど凛子、重に教えてくれないか?」
「もっちろんよー! 重くーん!!」
純也先輩にそういわれて、嬉しそうな凛子先輩。顔を真っ赤にして、ご機嫌模様。「他の人は練習」ということで、それぞれ皆持ち場へ移動した。私は、キーボードを練習する為に、楽譜をファイルからだした。
「あっちーっ、あけるぞ」
孝文が、音楽室の窓を全開にした。今日は風がキツイため、私の楽譜が風で飛び、あちこちに散らばった。
「あー!! 孝文、そこの窓開けないでよ!」
「だってここの窓俺から一番近いもん」
「むぅ……」
私は楽譜を拾いながら、孝文をにらみつけた。
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「香織ーっ、かえろー」
「おー帰りましょー!」
絵磨と私が、音楽室から出ようとしたとき、後ろから肩を叩かれた。
「ん? どしたの……重君?」
「あ、この楽譜落ちてましたよ、香織先輩」
かっ……香織先輩だって! 嬉しい! 私はそうおもいながら、端っこに「七瀬香織」とかかれている楽譜を受け取った。そっか、さっきの楽譜、全部拾ったと思ったら、まだ落ちてたんだ。
「あ、あああありがああとぉおお!」
「?」
「……あああ、やっと私にも後輩ができた!」
私は楽譜をファイルに直しながら、万歳をした。
「……俺らも後輩なんですけどー」
「しかも1年前からなんだけどー」
順に孝文と龍夜が、私にいう。
「龍夜は弟だし、孝文はくっそ生意気だもん」
「はぁ?」
「……龍夜は弟だからいいとして、孝文、あんた敬語使いなさいよね、絵磨や他の先輩には使ってるくせに!」
私は孝文に近づいて、そういった。
「嫌だ絶対嫌だ、誰が使うかボケ」
「はぁ? もーむかつく、このアホ巨人」
「うるっせーチビ!」
実はというと、私は今150cm。まぁ中1にしては普通の身長なんだけど……孝文はなんと、今163cm。5年生の中で一番背が高い。だから、私が孝文をみあげる形になっている。……で、私は見下ろされている。
「もーうざい!! いこっ、絵磨」
私は絵磨と一緒に学校を出た。