コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re:     恋時計     ( No.102 )
日時: 2011/01/19 21:40
名前:  苺羅、 ◆m.d8wDkh16 (ID: 7zw0g7CO)
参照:   ▼  ひーはー!!




 第24話



 6月中旬、現在期末テスト1週間前により、部活は休止中……。ってことで、私はまだ日が暮れていない、真っ青な空の下、絵磨と並んで校門を出ようとした。その時……背後から、名前を呼ばれて、私と絵磨は振り返った。そこには、多少息を切らした里子先輩が立っていた。

 「今日、桜も凛子も予定あんだよねー……絵磨と香織、今日空いてる?」
 「はい、今から絵磨とどこかで勉強会しようかって、話し合ってたとこです!」
 「よかったぁー……うちんとここない? そこで勉強しよーよ……泊まりでね」
 「泊まり!?」

 私と絵磨の声がハモッた。里子先輩は、両親が小4のころに離婚して現在は、父親と2人暮らし。その父親が、今日から出張で月曜日まで帰ってこないらしい。……それに、今日は金曜日だし、いっかな。

 「じゃあ行かせてもらいます!」
 「……まぁ行けると思います」
 「おしっ、そうこなくっちゃあ〜」
 
 里子先輩は、私と絵磨の背中を叩いた。


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 私は用意をして、親に許可を得て、里子先輩の家に訪れた。途中で、絵磨と会い2人でインターホンを押した。出てきた里子先輩は、派手な柄のTシャツに、サロペで前髪を派手なゴムで結んでいる……という、格好だった。なんかポップな感じで、かわいい!

 「はいってはいってー」

 里子先輩が自分の部屋に、私と絵磨と入れると、「菓子とかとってくるね」といってドアを閉めた。

 「っはー……派手な部屋だねー」

 絵磨が辺りを見回しながら、呟いた。ピンクと黒のヒョウ柄のベットに、同じ柄のカーテンと絨毯とクッション。小さなアナログテレビや、本棚までキラキラにデコッている。そして壁には、大量の写真とプリクラと、ポスター。本棚の中には、ギャル雑誌や少女マンガが詰められていた。机の上には、また派手な携帯……。

 「でも里子先輩っぽいよね、私このカーテンとかの柄好き」

 私がそういうと、里子先輩がおぼんにコップとお皿とお菓子を持って、部屋に戻ってきた。

 「おぉ〜チョコいっぱい!!」
 「コーラなんだけど、2人共いけるぅ? 無理だったら、お茶とかに替えようか?」
 「いえいえっ! うちらコーラ大好きですっ、ねっ、香織」
 「うんっ!」

 私は真っ先に、お菓子とコーラに食いついた。絵磨はというと……数学の問題集をひろげた。

 「うわっ、絵磨えらー! ちゃんと勉強するんだ!」
 「えっ……だって勉強会じゃないんですか? ていうか香織、お菓子ばっか食べてないでさあ……」
 「ふごっぼこっ……ぼべんぼべん(ごめんごめん)」
 「…………」

 お菓子を口の中につめて話す私を、絵磨と里子先輩は、呆れ顔でみつめた。私は急いで、お菓子を飲み込むと、鞄から数学の問題集を出した。里子先輩はというと……頬杖をついて、コーラを飲みながら、ボーッとしている。

 「里子先輩……勉強は……」
 「あーうちしないから、どうせやったってわかんないし、そもそも2人とお泊りしたかっただけなんだよねー……」
 
 里子先輩はそういうと、ベットに寝転がって、携帯をいじりはじめた。

 「……ねぇねぇ香織、ここなんだけどさー」
 「えっ、そんな難しいのわかんない! 超複雑じゃね?」

 絵磨が見せてきたのは、文字式がめちゃくちゃ複雑な応用問題。「じゃあここは飛ばして、答え合わせの時に解説みよう」といって、絵磨はまたシャープペンを走らせた。そして、どれくらいたっただろう、ふと時計を見ると、午後6時になっていた。


 「うっわー! めっちゃ勉強したねー」
 「うん、こんなに集中したのはじめてー!」

 里子先輩の部屋は、風通しがいいのか、集中して勉強できた。私はふと、ベットをみる。……携帯を片手に、熟睡中の里子先輩……。私と絵磨は、無言で顔を合わせた。そして暗黙の了解で、里子先輩の近くへ行く。そして絵磨が、部屋の隅においていた、ドラムスティックを持ち出した。


 そして里子先輩の耳の近くで……カーン!と鳴らす。


 「……んっ……」
 「里子先輩ー! 寝ないで下さーい!」
 「……んあー!?」

 里子先輩はむくりと起き上がると、ぐちゃぐちゃになった髪の毛をかきながら、私と絵磨をぎろりとにらみつけた。……さすが、負け知らずの喧嘩姫……ってあだ名がついてる先輩、背筋が凍った。

 「ひっ……」
 「あー……ごめん……寝起き悪いから、うち」
 「あーと、なんか、ごめんなさい」
 「いーよ……さぁて、飯にでもするか」


 そういって、里子先輩はベットから降りると、部屋を出て行った。私達も教科書やワークを片付け、部屋を出た。