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Re:     恋時計     ( No.106 )
日時: 2011/01/22 23:51
名前:  苺羅、 ◆m.d8wDkh16 (ID: 7zw0g7CO)
参照:   ▼  ひーはー!!

 第26話


 
 「えっ!? 花先輩5教科420点!?」


 放課後の音楽室からは、けたたましい少年の声が聞こえる。その声の主、孝文は花先輩の、成績表をみて目を丸くした。……今は、期末の成績表をみんなで見せ合ってるとこ。毎回、これが軽音楽部の風物詩みたいになってるから、皆普通に成績表を見せている。けど、新入部員の重君にとっては、とてもおかしな光景に見えたのだろう。


 「ほらー早く見せろってー重」
 「嫌ですよ、皆みたら絶対笑いますよ!?」
 
 純也先輩からの要求を、頑なに拒否る重君。自分の成績表を、両手でぎゅっと抱きしめて、眉をひそめている。あ、ちなみに、この学校、4年生から定期テストがありまーす。まぁ4教科と音楽と家庭科だけだけど。

 「ていうかすごいわよね、大和先輩は最高490点で、しかもあの長本高校で、首席で合格したもの。それに比べて桜は……」
 「もうほっといてよー! 別に私普通じゃん!」

 凛子先輩が、目を細めて桜先輩のほうに視線をやった。桜先輩は、半ば怒り気味に凛子先輩の、肩を叩く。長本高校といえば、この県の公立の学校で、トップの成績を誇る学校。偏差値はなんと70。


 「よぉし、重! 明日一緒に今話題の特大パフェを食べにいこう! だから成績表みせてくれぇ〜」


 つか純也先輩、どんだけ重君の成績表見たいの……。ていうか、さすがの重君もそれで釣られるわけな——……

 「わかりました! はい!」
 「わけあったぁあああ!」
 「? どしたの香織?」
 「いやなんでもないっ!」

 絵磨の問いに、私は「何叫んでんの」と心の中で自分に言い聞かせた。


 「おぉ〜ふぉ〜ぼぉ〜べぇ〜」
 「ちょっと純也、変な効果音出すなよ」
 「ぼーぼーひゅー! ……なるほどありがとう」
 「……とりあえず、皆練習はじめようか」

 純也先輩が「変」と悟った健先輩は、代わりに皆にそういった。


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 「ねぇねぇ香織! もう告った?」
 「まだです……」
 「えぇーまだなの!? もー早くしないと夏休みになっちゃうよ」

 部活から家に帰る道で、里子先輩と私は会話していた。そう……あれからもう、2週間あまり……まだ告白できずにいる。っていうか、手紙の文章もかけてない! 私が黙っていると、里子先輩はふいに黒い笑みを浮かべた。

 「ねぇ、賭けしない?」
 「えっ!?」
 「香織がー終業式の日までに、告ったらうちが100円あげます! その代わり、できなかったらその逆だかんね」

 おぉ……おぉお、終業式まであとわずか。ちょっとハードルが高い……けどけど! やっぱ告白はしなきゃね。私は「その賭け乗りました!」とやや大声でいった。里子先輩は指を「パチンっ」とならす。

 「きーまりっ! 頑張ってよね!」
 「はい……」



 私は今にも消えそうな声でそういった。