コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 恋時計 ( No.210 )
- 日時: 2011/01/31 21:59
- 名前: 苺羅、 ◆m.d8wDkh16 (ID: 7zw0g7CO)
第34話( 桜目線 )
「そっかぁー凛子、頑張ってネ!」
「応援してるわよ〜」
お風呂からあがり、今は脱衣所で話し合い中。順に里子とおねえちゃんがそういった。どうやら凛子が純也君に告白するらしい。私も「成功するといいね!」といって、笑って見せた。
嘘つき……——
自分の嘘つき——……
本当はそんなこと、思ってないクセに
私と香織ちゃんは、先に着替え終わって、脱衣所の外で待っていた。今は周りに誰も居ない。私は、そっと香織ちゃんに話しかけた。他の誰にも聞こえないように、ひそやかに……。
「……凛子、告白……するのかな?」
「まぁ凛子先輩ならしますよ、きっと。桜先輩……いいんですか?」
「えっ?」
香織ちゃんは、唯一私の気持ちを知っている人間だ。
「……いいのよ、これで潔く諦めれそう……凛子とライバル、なんていやだもの」
「……そうですか」
ううん、違う……本当はね? 本当はね、哀しいの。どっちを選んでいいかわかんないんだ、友情と恋愛。凛子と関係を保っていきたいし、本当は純也君の隣にいたい。もう、わかんない。
「じゃあ、いってくるね」
そういって凛子は、私達に手を振って去っていった。どうやら既に「話がある」といって待ち合わせをしているらしい。あああ……私は気が気でなかった。
「…………」
「あれっ、桜先輩……顔色悪いですよ」
絵磨ちゃんにそういわれて、私はハッとなった。……私、知らない間にそんな顔色になってるんだ……。やばいやばい、私も純也君が好きなんて、凛子に知れたら……ははははははは。
-----
しばらくして、凛子は戻ってきた。嬉しそうな顔もしてなければ、悲しそうな顔もしてなかった。なんだか、疲れた表情をしていた……どうしたんだろう? 里子が「どうだったぁ?」と近寄った。
「……もう、さすがの私もお手上げ!」
「どういう意味?」
「だからね……」
( ここから凛子目線です )
私は期待と緊張を胸に、待ち合わせ場所の廊下に立った。ここは比較的人通りが少なく、静かで綺麗な夜景も見えたので、告白スポットにぴったりとおもったのだ。しばらくすると、純也君がやってきた。
「よっ、凛子! 話ってなんだよ?」
「……純也君と、私が出会ったのは、幼稚園の頃だったよね」
私は窓のほうにくるりと背を向けて、夜景を眺めた。
「……それが、どうかしたのか?」
「最初はね、何コイツ……っておもってた。だけど一緒にいるうちに、この人いいなぁとおもって、それが小1の頃だった、それから……ずっと、ずっ———と好きでした!」
私は思わず、純也君のほうに視線を戻した。純也君の表情は、ぽかんとしてて口をあけていた。……いえた、好きっていえたけどなんかなぁ……。私は「返事は?」と尋ねた。
「俺も好きだぁ、桜も健も重も里子も大和先輩も花先輩も、七瀬も久保も龍夜も孝文も康義も辰雅も、そして凛子も! 家族も! クラスの友達も! 皆いいやつだよな……」
「えっ、あ、あ……」
私は突然の発言に戸惑った。だが、ここは凛子! 押して押して押しまくれ!
「それもそうだけど……私が言ったのは、恋愛の好きなんだけど」
「恋愛の? 凛子が? そりゃないよぉ」
「本当なの!」
私は強く言い放った。そのときの私の顔は多分、すごく険しくて恐ろしかったと思う。だけどさすが純也君、そんなことは微動だにせず、へらへら笑い出した。いい加減ムカついて、私は純也君にそっと近づいた。
「……本当に、好き、なの」
「あ、わかった! ドラマの見すぎだなぁあ? 俺を試そうと思ってもそうはいかんぞ……ふっふっふ」
「……っ! もういい!!」
私は純也君を睨み、走ってみんなのいる所へ戻った。
-----
( 桜目線に戻るよ )
なんだか、ホッとしたようなそんな複雑な気分になった。
「でもさぁ、そこまでやられると逆にわざと? っておもうわよね」
「ですよね花先輩! ……でも、もういいです、あの人は。こんなに気付いてくれないなら……諦めます」
「えっ」
私は思わず声をあげてしまった。あんなに好きだったのに?
なんだか私の心の中で、なにかが駆け回った。
胸騒ぎがした。その瞬間、凛子が私に耳打ちしてきた。
「 純也君と、頑張りなさいよ 」
気付いてたの……?