コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re:     恋時計     ( No.217 )
日時: 2011/02/01 20:37
名前:  苺羅、 ◆m.d8wDkh16 (ID: 7zw0g7CO)



 第35話



 今日からいよいよ新学期!! 夏休みが恋しいのもあるけど、絵磨とまた学校で話せるのも嬉しいし、何より優志と会えるのが楽しみだった。私は、教室につくと、真っ先に絵磨に抱きついた。


 「おっはよぉ絵磨ーひさしぶり!」
 「ひさーっ、……なんか香織、焼けたねえ」
 「えーそう? プールよくいったからかなぁ」
 「ははは!」

 そんな他愛のない会話が楽しくて。……2学期からは決めたんだ、心機一転して、イメチェンするって! だから今日はいつもの髪型とは違う、2つ結びにしてきた。いつもの髪型だと暑いしね……。


 「おっ、あそこにいとしの三井君がいますよぉー」
 「あ……まぢだ」
 
 絵磨にいわれて、私は廊下で壁にもたれかかっている、優志をみた。優志気づけーっ! 気づけこの野朗ー……と、私の熱い視線も虚しく、優志は教室に戻ってしまった。

 「ちぇっ……優志め」
 「あっ、てかもうすぐチャイムなるよー座ろっか」
 「あ、うん」




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 次の日、今日からいきなり6時間授業……超だりぃー。で、5時間目は体育祭の出場種目を決める時間だ。私は、先生が黒板に書いた種目を、ジーッとみつめて考えた。

 女子400mリレー……無理無理、バトン落としたらめっちゃ責任感かんじるし。スウェーデンリレー……なんか校庭を2周くらいするやつ……長距離苦手だからパス。あとのやつもなんか、パッとしないなぁ……あ、60m走ならいけるかも、なんで50じゃなくて60なのかは不明だけど。



 「香織、香織は何にする?」



 後ろの席にいる絵里那に話しかけられた。


 「60mリレーかな」
 「そぅなの!? うちはねぇ、女子リレーでるよ!」
 「そうなんだー頑張ってネ!」
 「おい、バ香織」


 今度は隣の席にいる森野に話しかけられた。私は「何じゃ」といって森野のほうを向く。


 「いいこと教えてやるよ、優志は男子リレーのアンカーだ」
 「へぇ……アンカーかぁ」

 ちなみに4組は既に、前の時間に選手は決めたらしい。アンカーといえば、大体一番速い人がなる。優志、小学校のときも足速かったしなぁ……。そして……私は「60m走希望者の人」と先生に言われて手をあげ、あっさりと60m走になった。全員が決め終わり、休み時間になった。



 「絵磨ぁ、女子リレー頑張ってねぇ」
 「頑張るよ! 怜緒は男子リレーのトップバッターだしね」
 「ふへへ、優志はアンカーだってさ」
 「まぢで! 三井君速いもんねぇ」


 私は自分のことじゃないのに、何故か嬉しくなって頬を赤くしながら「うん」と頷いた。
 ……とそのとき……。



 「愛と眉毛がほしぃいいいいいいいいい」
 「!?」


 突然廊下から、けたたましい女子の叫び声が聞こえてきた。その声はだんだん近くなり、やがて5組の前で止まった。その声の主は、5組に顔を覗かせている。

 「森野ぉ、手紙だよぉ」
 「えっ!?」


 そういって、何か小さな紙を持っている女子は、藤山美里奈。この人、なんというか……うん、眉毛がない。口癖は「愛と眉毛がほしい」「ひーはー」「眉毛がないのは気にしないで」。色々とツボるんだよね、この人。そして、森野と付き合っている。



 「あ、あ、ありがと……」
 「今日中に返事ちょうだいねぇ、じゃあねぇ!」

 森野は顔を真っ赤にさせて手紙を受け取り、美里奈は去っていった。なんか「眉毛〜眉毛〜」とか歌いながら。その光景を、廊下にいる人たちは唖然と見ていた。


 「おい森野ぉ、手紙なんてかいてんだよ!」
 「……いとしの森野君へ、えへへ美里奈わねぇ、ペアリングがほしぃなぁ♪今度またデートしよぉね♪by眉毛無し美里奈……だってさ!」

 望と城沢が、大声で手紙を読み上げた。森野は「あっ、返せよ!」と顔を赤くして、手紙を追っている。


 「ひゅー! あつあつですなぁ」
 「らぶらぶだぁ〜」
 「美里奈ちゃんやるねぇ〜ふっふぅ〜ん」


 クラス中が森野と美里奈カップルをひやかしはじめた。ちなみに最後のは、愛可ね。



 「なんか、すごいよね、あんなふうに大っぴらにラブラブするなんて」
 「だよね」


 絵磨の言葉に、私は頷いた。