コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re:     恋時計     ( No.223 )
日時: 2011/02/04 19:16
名前:  苺羅、 ◆m.d8wDkh16 (ID: 7zw0g7CO)
参照:   ▼  青春わ中3or高校でするっ! …つもり





 第39話



 とはいっても、ごちゃごちゃしてて、まだ皆席に座ってはいない。なので、私達は観覧席から立って、得点表を見に行くことにした。クラスごとの成績が、ずらりと並んでいる。


 「7年生は、1組が57……2組が58、3組が61、4組が56、5組が60かぁ……接戦だね」
 「でも今のところ、2位だよね」


 私はそれを確認すると、他の学年のもみることにした。小学生は、クラスが少ないので、1年と2年、3年と4年、5年と6年の各クラス同士で競い合うことになっている。


 「5年生、1組1位、2組3位、6年1組が2位で、2組が4位だ」
 「龍夜と孝文のクラス、勝ってんじゃん」
 「そこ何してるー、早く座りなさーい」
 「あっ、すいませーん」


 いつのまにかほとんどの人が観覧席に座っていた。私達も、観覧席に戻った。


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 しばらくすると、吹奏楽部の演奏とともに、運動部の人たちが行進してきた。まず最初に、“野球部”のプラカードを持った人が先頭に、野球部がやってきた。後ろには長蛇の列。こうしてみると、孝文、飛びぬけてでかいなぁ……まぁ前の方の中学生よりは、負けてるけど。


 「あれは……卓球か、あれは、バスケ、あれは……」



 来る人来る人のプラカードを確認する。サッカー部まだなの!?



 「次多分サッカーだよ、一番最後じゃん」
 「まじだぁ……」


 しばらくすると、水色やらオレンジやらのユニフォームを着た集団が現れた。サッカー部も結構、人数が多い。さてさて、優志はどこにいるかな〜。私は血眼になりながら、優志を探した。


 「あっ、あれ三井君じゃない?」
 「ほんとだ……」



 水色のユニフォームを身につけて、俯きながら歩いている優志。暑いのか、汗でびっしょりだった。ふいに胸が高鳴った。その時だけは、吹奏楽部の演奏も、みんなの歓声も、絵磨の声も、何も聞こえなかった。ただ、優志だけが見えた。


 「…………」



 そのときの私の顔は、固まってたと思う。しばらくして、ようやく我に返った。



 「ほらっ、全員行進終えてみんな走るよ! まぁ三井君は走らないみたいだけど」


 ほとんどの人は、トラック内に座って観戦している。走るのは、だいたい9年生。まぁ9年生が見ものなんだよ……まずは、女子から走り始めた。この中には、美術部と吹奏楽部も入っている。案の定、前のほう。


 「……うおっ、すげぇ陸上部、ハンデついてても、もう剣道部抜かしてるよ」
 「ほんとだ、すごい……」


 1番かわいそうなのは、剣道部。だってこの暑い中、剣道着を着て……。球技系の人たちは、バトンパスするときに、ボールを蹴ったり投げたりした。おお、さすが球技系……ボール飛ぶねぇ。


 「で、結局は陸上部1位で、文化部最下位なんだ」
 「……これって若干虐めじゃね? 文化部が体力劣ってるのは当然のことなのに……」


 絵磨とぐだぐだ喋りながら、部行進&部対抗リレーは終えた。


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 「次男子リレー!」


 私のテンションはハイになっていた。これと、男子組体操で体育祭は終わる。だから、これが得点の入る最後のチャンス。ちなみに、7年生は今んとこ、3組が1位で、5組とは1点差。


 「ぁあああ、入場してきた!!」


 入場する大群の中には、もちろん優志がいた。優志頑張れ!!


 「位置について……よーい……ドン!」


 怜緒を含める、5人の男子はバトンを持って走り始めた。絵磨は「怜緒頑張れ!」と言っている。そして、5組からは一斉に「怜緒」コール。私は、皆と一緒に、席を立って応援した。


 「がんばれぇえええええーっ!」
 「怜緒! 怜緒! 怜緒!」


 もちろん、自分のクラスの応援が一番大事だった。けど……——


 「おぉ、ついにアンカーだ」



 4組の人からバトンを受け取ると、優志は一目散に走り始めた。まるで風のようで……私はドキドキした。こんなに優志が速いなんて。今、5組が1位。優志がどんどん、追いついてくる。


 頑張れ……抜かしちゃえ、抜かしちゃえ。



 「優志————! ……あー抜いたぁああ!」
 「きゃああああ!」


 4組から一斉に歓声が響いた。一方5組は。


 「あああーっ、三井はえええーっ」
 「まだいけるかもよ!?」


 そして……優志が、一番でゴールした。


 「優志ーっ!」


 4組の誰かが、優志に向かって叫んだ。優志はくるりとこっちをむいて、手を振ってはにかんだ。ちょうどその男子と、私の位置が同じだったので、なんだか私のほうに向いてる気がして、緊張した。

 その笑顔、「勝ったぞー」っていう声、私に向けられてるわけじゃないのに、向けられている気がして、嬉しかった。







 「7年生……5組、優勝!」
 「おっしゃああああああああああ!」


 5組が2位だったため、得点がはいり、7年生は5組が優勝となった。



 「やったね、香織!」
 「うん!」




 4組は、勝てなかったけど。私は一生この日は忘れないだろう。
 中学1年生の体育祭を。