コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 恋時計 ( No.332 )
- 日時: 2011/02/12 22:00
- 名前: 苺羅、 ◆m.d8wDkh16 (ID: 7zw0g7CO)
- 参照: ▼ 全力で生きるし!(は
第46話
「わたせたぁああああああああああああよぉおお!」
次の日、私は7年5組の教室で、おもいっきりそう叫んだ。絵磨にだきつきながら。周りの人は不審そうに、それをみている。絵磨も「怜緒にわたせたよ」と小声で呟いた。
「あっ、そうだ、これチョコね」
「ありがとー! あ、うちもね」
私達は、チョコを交換した。すると……——
「香織ぃいい、絵磨ぁぁああああ」
「!?」
突然、きーちゃんがすごい形相でこっちにむかってきた。絵磨は「どうしたの!?」と尋ねる。
「……俺、愛可と付き合うことになった」
「まぢで!? おめでとーっ」
「喜嶋くぅんなにやってんのぉ?」
愛可がきーちゃんのところへ近づき、ぶりっこポーズをしてみせる。
「あのね、昨日愛可がぁ、きーちゃんにチョコわたしたのぉ♪」
「へぇ〜そうなんだ〜」
私は、真顔で愛可にそう答える。でも内心は、2つの意味ですごく嬉しかった。1つは、きーちゃんが念願の愛可の彼氏になれたこと。これは、心から祝福するし、羨ましいともおもった。そしてもう1つは、ライバルがいなくなったこと。
「いつまでもお幸せにねっ」
「おぉ〜ありがとう……」
「ねぇねぇー愛可、バスケの練習ずっとみてるからぁ、今日から一緒にかえろうね」
「う、うん……」
愛可にめろめろのきーちゃん。顔を赤くして、漫画で表したら、きっと目はハート。そんな2人をひやかす、クラスメイト。そして、廊下にはこれまたラブくてひやかされる、美里奈と森野。ううう……いいなぁ、カップル。
一方で、幸せには恵まれなかった人も——
「沙羅……ううう、沙羅……あうあう」
隣には、どんよりムードの望が立っていた。首をうなだれて、本当にがっかりしている。実は望は、今沙羅のことがすきなのだ。まぁこいつ、好きな人ころころ変えるからね。どうせじきに、また別の人好きになるでしょ。絵磨が「望なに」と呟く。
「沙羅がチョコくれなかった……」
「仕方ないじゃん、沙羅はあんたなんか眼中にないんでしょ」
「ううう……」
「新しい好きな人できれば、沙羅なんかわすれるくせに」
「ぐぉおくそぉおお、絵磨のアホ野朗! 姫吉にフられてまえ!」
ぬっ……望め、いくらなんでも絵磨にそんなこというな!
「望、気持ちはわかるよ。でも絵磨を侮辱すんのはやめなよ」
「なんだよぉおおおお!!」
「望、なんか3組の女子が、お前とメアド交換したいって……」
「えっ、まぢで!?」
男子にそういわれて、望の表情は急に明るくなった。まるで山の天気のように、雨から急に晴れた。望は「3組へれっつごー」とかいって、男子と一緒に走り去っていった。
「ちっ、全く調子のいいどんぐりめ」
「お気楽でいいねぇ〜三上望は」
私と絵磨は、望の背中を見て、呟いた。