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Re:     恋時計 *半実話* ( No.500 )
日時: 2011/02/28 18:20
名前:  苺羅、 ◆m.d8wDkh16 (ID: 7zw0g7CO)
参照:   ▼  2年生もぁと17日




 

 第64話



 7月第2週目。もうすぐ夏休みということで、私のテンションはあがっていた。私は、4組の教室のドアをおもいっきり開けて、教室の中にはいる。諒香は違うクラスの子と話してて、今はここにはいない。だから、誰も挨拶してくれる人なんて、いなかった。まぁ別にどうでもいいんだけどね。
 私は、鞄を机の横にかけると、水筒のお茶を飲んで席に座った。……このホームルーム前の、朝の読書タイムがはじまるまでは、すっごい暇なんだよなぁー……あーあ。私は、頬杖をついてボーッと時計をみたりしていた。


 「あぢぃあぢぃああああーぢぃ、ああああっ!」
 「むっしゅむらむら〜」
 「(放送禁止用語〜)」
 「まーにゃうーけーるぅ!」


 順にうるさい天見、学級委員長なのにこのグループの牧野、ことエッグ、まーにゃがあだ名の井下、米野がそういった。4人のこの声は、クラス中に響き渡り、一部の人はそれをみて笑っている。まぁ、この4人がいるからこその、4組なのかもしれない。


 「おはよー香織ちゃーん!」
 「おーおはよ! 諒香」


 私は手を大きくふって、諒香に挨拶した。すると、諒香は黒板に書いてある時間割を見た。


 「……げっ、1時間目美術になってる」
 「うっそぉなんでぇ? 最悪意味不うわー」
 「ホームルームの時間だったのにねぇ」


 他の授業なら、私達はこんなに不満になって愚痴をいったりはしない。美術だから、いうんだよ。だってさぁ……美術ってさぁ、変な授業しかしないし、お・ま・け・に!! 先生がちょぉおおきもいの!!

 
 「朝から美術の先公とか吐き気する」
 「ねぇー油ハゲめ」


 諒香がそういうと、チャイムがなったので、皆は席に座った。はぁ、朝の読書タイムだ。



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 只今、美術の時間。私は先公の顔をみたくもなかったので、俯いていた。皆は「うぜぇ」とでもいいそうな顔をして、先公をみている。時々響く先公の声が、鳥肌をたたせる。


 「じゃあ先生、ちょっと用事あって職員室いくから、ちゃんとやっておくんよ!」


 先公がきもい声でそういうと、先公は美術室からでていった。その瞬間、一斉に歓声が沸きあがる。


 「うぇーい! 先公いねぇーやったぁー」


 と、いいつつも、一応みんな先公にいわれた課題をやりはじめた。



 「なぁなぁ寺本ー」
 「何、天見」


 ちなみに、私の美術の隣の席は、井下。その井下の2つ前が天見。天見のななめ隣の隣……つまり、私の左上が寺本さんになっていて、2人は美術の時間よく話している。もちろん、他の面子もまぜて。


 「お前さー昨日のメールみたぁ? 優志のことかっこいいとおもう? ってやつ」
 「あーみたよ、返信しておいた! まだみてないの?」
 「まぢか、みてねぇわ」
 「……じゃあ今、いってあげようか?」
 「ええわ、帰ってからの楽しみにしとく」


 何、優志のことかっこいいとか……意味不。私は、課題をやるふりをして、2人の会話に耳を傾けた。



 「あーそういやさ、優志がもう寺本のこといやっていってたぞ」
 「はぁー!? もう紗理依もやだし! あんなの無理ー」
 「あははははは!」



 え……今なんつった? 寺本さん、もう優志のこと好きじゃないの? 少しだけ嬉しいわたしがいた。てかよくわかんない、告ったくせに自分からフッて(?)、挙句の果てにまだ好きって……でも今は好きじゃない、けど優志の話はする。意味不明ー!!


 「えっ、寺本もう三井優志好きじゃないのか」
 「そぉだよー! あー好きな人ほしーっ!!」
 

 突然割り込んできた久保田の質問に、寺本さんは答えた。すると、天見が全然違う話をはじめた。


 「なぁ、寺本ってさ、犬飼ってるようにみえんだけど」
 「えっ、かってるよぉー? なんでわかったの!?」
 「名前なんてゆうんだ? あ、ゆうしって名前? ゆうしかぁー」
 「は? まだなんもいってないんすけど! そんな名前やだし」


 寺本さんがそういうと、きも先公が帰ってきたので、急に美術室は静まり返った。


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 「かおおりい〜かえろぉ」
 「えまあああ〜」


 部活が終わって、私は絵磨と一緒に音楽室を出た。静寂した廊下には、私と絵磨の足音だけが響き渡っていた。すると突然、絵磨が真剣な顔をして、私のほうをみた。「なに?」と私は尋ねる。絵磨は少し寂しげな顔をして、口を開いた。


 「あのね……私、もう怜緒やだ」
 「え? なんで」
 「……今日、聞いちゃったの。怜緒がね……


       7年のとき、煙草吸ってたんだって」
 「はっ?」



 私は目を点にした。え……た、煙草? そんな私をよそに、絵磨は話を続けた。



 「今日ね、美里奈と怜緒が付き合いはじめたんだって。美里奈はね、6月頃に森野と別れたの。怜緒も、フリーで、美里奈から告ったんだって。私、怜緒のことだんだん冷めてきてたから、あんま傷つかなかった、で、美里奈がいったの。煙草吸ってたって」



 絵磨の目は完全に冷め切っていた。さっきの明るさは、どこへやら。



 「そっか……でも喫煙てやばいね、もしやお酒も?」
 「や、それはよくわかんないけどーでも、吸ってたのは事実っぽい。超ショックだったし、怜緒、なんかうちに冷たいし……もう、怜緒嫌いになった、最悪」
 「…………」


 私はなんだか、なにも言葉を返すことができなかった。私になにがいえるっていうの? 絵磨の力になれるっていうの? 私は本当になにもできなくて、そのまま立ち尽くしていた。


 寺本さんといい、絵磨といい、みんなみんな、変わっていくんだね。


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 ことの始まりは、6時間目がはじまるまえの、休憩時間。私はボーッと机に頬杖をしていた。


 「なぁ、七瀬」


 聞き覚えのある声がして、私は声のほうを見た。そこには……怜緒が立っていた。


 「何?」
 「部活終わったら、屋上に来い。絶対な」
 「は?」
 「いいからこい!」
 「……わかった」


 私は怜緒を若干睨みながら、そういった。