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Re:     恋時計 *半実話* ( No.573 )
日時: 2011/03/17 21:51
名前:  苺羅、 ◆m.d8wDkh16 (ID: 7zw0g7CO)
参照:   ▼ 2年生もぁと5日





 第78話



 
 リハが終わり、私達はパイプ椅子に腰掛けて飲み物を飲んだり、何かをつまんだりして出番を待った。周りには、同じ舞台に出場する人たちがたくさんいる。キラキラにメイクして着飾った集団は、多分ダンススクールの人たち。そしてあの人は多分、和太鼓……などなど、控え室は、ごった返していた。冷房は一応効いているが、ちょっと暑い。


 「Cloverの皆さん、出番なので来てください」


 ふいに控え室のドアが開き、先ほどの男性がそういった。私達は、ぞろぞろと控え室を出ると、舞台裏に立たされた。今、前の人の出番がおわったようで、楽器の準備を始めている。しばらくして、アナウンスが流れた。



 私たちは、ステージに立った。……うっわ、すごい人たち……結構な人数が、立ち止まって舞台のほうをじっと見つめている。……このお祭の何人かは、絶対知り合いなんだろうなぁ……。絵磨は、マイクを持って、喋り始めた。




 「こんにちは! 春椿小中学校軽音楽部、Cloverです! 今回は私達の演奏を聴いてください! では、いきます!!」

 すると絵磨は、私達に目配せをした。私は息をのみ、気合をいれると、キーボードの電源をいれた。
 孝文のスティックカウントがはじまると、龍夜のベースのイントロが始まった。……よし、きた!!



 私の鍵盤から流れるキーボードの音。康義と辰雅のエレキギター音。そして、絵磨の歌が流れた。大丈夫、失敗しない!! 私は……私達は、できる!!





 やがて流れる、拍手。歓声。みんなで合わせる楽しさ……やっぱりバンドって楽しい!! 私はつい安心して、笑顔になった。



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 「ふぁああ〜終わったぁあ〜」


 私は、出番が終わると同時にそう叫んだ。大きくため息をつく。皆も安心した表情で、出た汗をタオルでふきとっていた。水分をとって、更衣室で着替えを済ませると、私達は控え室の隅に集まった。


 「じゃあこれから模擬店めぐりへと洒落込もうぜ!」

 孝文が笑顔をみせて、そういった。その笑顔に少しドキッときたのは、うん、まぐれだ、うん。


 「何が洒落込もうぜ! だ意味不」
 「それより、楽器どうしよう……これ背負って回るのもなぁ」
 「ここに置かせてもらお。あとで取りにこよう」
 「そうしよっか」


 龍夜が突っ込み、康義と辰雅が相談、私はそれにうなずいた。


 
 「おし龍夜いこうぜ」
 「おう! まずなんか食おう」


 龍夜はベースを置いて、孝文と肩を組んで控え室をでていった。そして康義と辰雅も「どっかいこう」といって、出て行った。……なんか演奏の時は団結するけど、他のことは結構……3組に分かれてる。


 「うちらもいこっか! 絵磨」
 「うんっ!」


 そうしてでていこうとすると……背後から声をかけられた。振り向くと、ダンススクールの生徒っぽい女の子が2人、立っていた。私も絵磨もきょとんとしながら、「何?」と尋ねる。


 「あのさ……春小中? の軽音部だったよね?」
 「あ、そうだけど……」
 「美里奈の友達でしょ?」


 美里奈。
 ふと長い黒髪の眉無し少女が頭に浮んだ。美里奈といえば、あいつしかいない。私は「別に友達じゃないけど……」と呟く。女の子は話を続けた。


 「聞いてるよー軽音部のこと! 美里奈もバンド組んだみたいで、打倒Cloverとかいってたけどさ、さすがにちょっと無理があるよねー」
 「うん、うちら覗かせてもらったけど、超演奏すごかった! 美里奈にはちょっと……無理だとおもう」
 「そっ、そう? ありがと……」


 べた褒めされて、絵磨は照れながら答えた。



 「まぁこれからも頑張ってネ、じゃ」
 「うんありがと、ばぃばぃ」


 私はそういって、女の子に手を振ると、絵磨と一緒に控え室を後にした。