コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 恋時計 *半実話* ( No.719 )
- 日時: 2011/04/09 15:41
- 名前: 苺羅、 ◆m.d8wDkh16 (ID: xe6C3PN0)
- 参照: ▼ 春休み中更新っていってたのにね、番外編
「演奏かっこよかったねぇ〜」
「私も早く、あんなふうにベース弾きたいなぁ」
「桜の兄貴と健とのバンド! 楽しみ」
「あ〜っ、はやく入部してぇ」
ショートカットの女は千崎桜、三つ編みの女は百屋凛子、帽子男は二十純也、茶髪の男は新藤健って名前ならしい。私は、その4人から少し離れた場所を歩いていた。……早く家につきたい。
「ねぇ、新垣さん、ドラム興味ない?」
そんな私の気持ちをよそに、桜がにこやかに話しかけてきた。私はくるりと振り向いて「う〜ん……」とお茶を濁す。きっと今の私の表情は、とっても不機嫌で、周りから見れば、きっと怖いと想う。
それなのに、なんで普通に接してくるの?
「私と、桜と、桜のおねえちゃんと、新垣さんのバンド」
「……そっか……」
私は「興味ない」といわんばかりに、返事した。興味ないってことない。バンドはかっこいいとおもうし、正直ドラムも叩いてみたいとおもっている。けど、私の性格で、メンバーとやっていけるか自信ないし、仲良くなった所で、また裏切られそう。
「なぁなぁ、俺等新垣のこと怖いとは想わないよなぁ」
「思わない思わない! なんで皆新垣避けるんだろ」
純也と健の会話に、私は思わず振り向いた。目を見開いた。……今、なんて?
「新垣さんと喋ったら楽しそう」
「バンド組んだらもっと楽しそう」
なんなの……? この人たち。なんで?
「ねっ、これから一緒に遊んだりしよっ、新垣さん……じゃなくて、
里子ちゃん!」
“里子ちゃん”
どこかで聞いた事のある、フレーズ。
『里子ちゃん』
『里子ちゃんと未央子は、ずっと友達だよ』
『里子ちゃんと未央子、心友だもんねぇ〜』
様々な言葉が竹沢未央子の声で蘇る。笑顔で、あの日、確かに未央子は「ずっと友達」とかなんとか、いっていた。
「……どうしたの?」
桜が私に近寄る。やめて……っ!! その顔で、その声で、その姿で……話しかけないで! 桜は全然関係ないはずなのに、全てが竹沢未央子と被った。今、目の前にいるのは、未央子。
私を裏切った、竹沢未央子……——!!!!
「いやぁああああああああ」
私は奇声をあげながら、一目散に家まで駆け込んだ。