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Re:     恋時計 *半実話* ( No.724 )
日時: 2011/04/09 20:14
名前:  苺羅、 ◆m.d8wDkh16 (ID: xe6C3PN0)
参照:   ▼ MONEY真面目にやばい




 第85話




 気付いたら、私は本当に孝文のことが好きになっていた。夜、布団の中で思い出すのも、考えるだけでドキドキするのも、色んな妄想しちゃうことも、優志のときに……その前の恋でも、味わったことがある。


 「あーあ、まさか好きになるとは」
 「思わなかったね」


 夕日が照らす帰り道、絵磨と私は呟く。気付いたら、蝉はもうないてなくて、朝晩は結構肌寒い。もう、秋なんだ、そしてすぐに冬はやってくる……——



 「冬が終わって、桜の咲く頃には私達も、受験生だね」
 「そうだね……」



 私は、公園の前に植えられている桜の木をみて、そういった。今はまだ、葉が色をつけているけれども。


 「そういえばさ、もうすぐ合唱コンじゃない?」
 「ほんとだっ! うちのクラス、優勝は無理だなぁ〜」



 この学校は、1年生から9年生まで全学年が合唱コンをやっていて、学年ごとにクラス対抗で行う。ちなみにうちらの学年は、体育祭も優勝を果たした、5組が優勝しそうなきがする……といわれている。



 「1組頑張ってネ〜」
 「や〜、4組も頑張れ!!」


**




 「じゃあ、今のとこもう1回」
 


 指揮者の言葉で、再び歌声が聞こえ始めた。……只今、8年4組は合唱コンの練習中。何度もうたって、先生のアドバイスをきいて、うたって……うたって……——



 「つっかれたぁ〜もぉだりぃ〜」




 休憩時間、天見がだらしない大声をだす。





 「でもさぁ、優勝したらうれしくね?」
 「まぁなー」
 「5組には勝とうぜ」


 米野、井下、天見の3人組の会話が聞こえる。



 「はいみんな〜聞いて〜」



 突然、担任の声がして、教室は静まり返った。何事か、とおもい全員が担任の方に目を向ける。すると、担任はポケットからなにかを取り出し、教壇のほうに移動した。



 「これは、先生が昨日作ったお守りだ。当日はポケットにいれて、合唱コンに挑もう!」
 「へぇ〜お守りかぁ〜」


 誰かがいうと、先生は出席番号順に、お守りを配り始めた。


 「七瀬」
 「はい」



 先生から、お守りを受け取る。お守りといっても、ブルーの画用紙に保護カバー(というの?これ)がつけてあって、後ろには押し花がしてある。私は「綺麗な花……」と呟いて、筆箱にしまった。



 「これさぁ、いらないんだけど」



 米井秋音が、西森あみに向かってボソッと呟いた。



 「えぇ〜そうかな、うちは結構嬉しいけど……」
 「いらないし、帰って弟にあげる」



 せっかく先生が作ってくれたのに、なんかひどいなぁ……と思いながら、私は机を元の隊形に戻した。