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Re:     恋時計 *半実話* ( No.813 )
日時: 2011/04/18 21:17
名前:  苺羅、 ◆m.d8wDkh16 (ID: xe6C3PN0)
参照:   ▼  梅雨でもなぃのにいきなり雨ふんな!



 第97話




 「え、嫌なんだけど……」
 「いーから! 優志、風邪じゃなくてただ腹痛がきつくて休んだだけだから!」
 「あ、そうなの?」


 てっきり風邪だと思ってたから、意外だった。私が拍子抜けたと同時に、辰雅はにこっと笑った。


 「絵磨先輩も一緒にきてください!」
 「っていうかさぁ……なんでそんなに家いれたがるの?」
 「そりゃ、香織ちゃんが優志のこと好きだから! 協力」



 辰雅は笑顔を崩さない。……まだ、皆には優志が好きだと思われてる。あの、前の尾行一緒にいたよね? あれみて、仮に私が優志を好きだと思ってて、勝ち目があるとおもってるわけ? 愛可と優志のラブラブっぷりは、どこのバカップルにも負けないでしょ。


 そうおもっても口には出さず、黙っていた。辰雅はたぶん、「家はいれ」の一点張りだとおもう。だったらさっさとはいって、家に帰ったほうがいい。せっかく、絵磨もついてきてくれたんだし……。


 「よしっ、じゃあお邪魔します!」
 「そうこなくっちゃあ♪」


 辰雅は何故か上機嫌で、私達を家の中にいれた。昔から変わらない、優志の家。今ここに自分がいることに、違和感があった。私は靴を置くと、そっと玄関にあがる。絵磨もいっしょに。



 すると、タイミングがいいのかわるいのか、孝文がやってきた。


 「あれっ、なんで!? 香織と、絵磨先輩!?」
 「連絡プリントを……」
 「その付き添いを……」
 「あぁ! ま、頑張れ」



 孝文は何を頑張れといったのかしらないけど、そういうとリビングにいってしまった。……どうやら孝文にも、まだ優志のことが好きだと思われているらしい。ちょっと切なかった。

 「優志〜はいるよん」
 「あ、うん」


 ドア越しに辰雅と優志が会話すると、トビラを開けた。その瞬間、優志は私と絵磨の姿を見て、目を見開いた。そして「アギャアアアアアアアアア」とかいう、奇声をあげて、平安度MAXの顔をみせた。



 「……アギャアアアアアアっていいたいのはこっちのほうだよ!」



 絵磨が呆れたようにそういった。それもそのはず、この部屋……AKBだらけ。前田敦子や、篠田麻里子や、色んなAKBメンバーのポスターがたくさん貼られていて、AKBのCDがいくつかある。何故か、机の上に大量のAKBシール。うちわやTシャツまであった。




 「どこでこんなに買ったの? なにこのグッズ」
 「それはオークションや、お店で買ったんだ! AKB大好きなんだ!!」
 「ふぅ〜ん」



 私は自分で聞いておいて、そっけない返事をした。優志は、布団から起き上がると、CDをとりだして、コンポで再生しはじめた。この曲は……AKBのだろうけど、知らないなぁ。



 「自分らしさっていう曲だよね」
 「おう! 俺の好きなAKB曲の1つだっ」
 「へぇ」



 AKBが好きな辰雅が、優志と会話をする。絵磨は目を細くして、2人の会話を聞いていた。……ってかなんか、何か忘れてる気がする! えっと、あ、連絡プリント!



 「これ、はい」
 「あぁ……どうも」


 私が渡すと、優志はいきなり改まって返事した。なんなんだ。


 「じゃあもうかえろっか、絵磨」
 「うん」
 「あーっ! まってまって!」
 「何?」



 部屋をでようとしたとき、優志が呼び止めたので、私も絵磨もくるりと振り返った。だから、家に帰って自主練しなきゃなのに!! 優志は、机からシールを取り出すと、私達に差し出した。



 「記念にあげる」
 「いらんわ」
 「あげる、俺があげるといってるんだ!」
 「いらんわ」
 「あげるんだぁああ! 受け取れぇえええ」
 「いらんわ」
 「コケコッコ-」
 「いらんわ」
 「愛可はどうしてあんなにかわいいんだー!」
 「いらんわ」



 とりあえず「いらない」の一点張り。最後の方、意味不明だけど。私は呆れた表情を見せると、絵磨と一緒に部屋を出た。つづいて、辰雅が部屋を出る。1階に降りると、また孝文の姿があった。




 「お疲れカツカレー」
 「意味不」
 「優志の部屋、AKBだらけだったろ?」
 「うん……」
 「ひいた?」
 「え、うん」


 孝文が急に真顔で聞いてきたので、ちょっとドキッとした。「じゃあ俺今から自主練するわ」といって、ドラムのある部屋にいってしまった。気付いて無いかもだけど、好きなのは君なんだよ。



 それがいえたら、いいのに。