コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 恋時計 *半実話* ( No.862 )
- 日時: 2011/04/25 18:09
- 名前: 苺羅、 ◆m.d8wDkh16 (ID: xe6C3PN0)
- 参照: ▼ 修学旅行の班の男子、どーかしてるぜっ
*絵磨目線*
「アイツ、また泣いてるよ」
「うん」
休み時間。私は、幼稚園からお友達で近所に住んでいる、三上望と喋っていた。望の見つめる先には、髪の長い泣き虫な女の子、七瀬香織がまた泣いていた。なんで泣いてるのかは、よくわかんない。
「なんでアイツあんなに泣くんだ?」
「えっ」
望は、すぐそばにいた三井優志に尋ねた。三井君は、幼稚園は違ったけど、望と今は友達。三井君なら、なにか香織のことを知ってるだろうとおもい、聞いたんだと思う。だけど、三井君は困った顔をした。
「しらねぇよ、ああいう奴なんだ」
「ふ〜ん……お前友達だろ、声かけてやれよ」
「やだよめんどくさい、どうせまたくだらん理由だろ」
三井君はそういって、腕を組んでふてくされた。私は何もいわないまま、香織ちゃんや三井君や望を、ジッとみつめているだけだった。……本当に、なんであんなに、泣くんだろう。
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「でさぁ〜俺のポケモン! もぉ誰にも負けねぇってかんじ! 絵磨には前負けたけど、今回はぜってぇ負けねぇから! なんだってな、俺は一生懸命レベルアップして、技も強くて、俺の自慢の……」
「……ん」
帰り道。私はやたら長い望の話を無視して、違う方向をみてみた。あれっ? あれってもしかして、七瀬香織ちゃん? それで、その前にいるのは……えっと誰だ、よくしらないや。
「ついてくんなや!」
「……っ」
「……いこうぜ、優志、啓太」
わりと背の高い、ボスみたいな男子が、私と同じクラスの三井君と、本村君にそういうと、3人は香織をおいて、歩いていってしまった。香織はというと、地面にへたりこんで、泣いている。
「で、そのポケモンが……おい、きいてんのか、絵磨」
「聞いてない。っていうか、みて、あれ」
「は?」
ぽかんとする望を置いてけぼりにして、私は、走り出した。香織まで追い越して、やっと、さっきの男子の所までたどり着いた。私は大きく息をすうと、大声で叫んだ。
「ちょっと! さっきのないんじゃないの!」
「あ?」
背の高い男子は、不機嫌そうな顔で、こっちに振り返った。うっ……結構ド迫力……っ、で、でも負けない!
「あの子泣かしたの、あんたでしょ!」
「はぁ? だってあいつずっとついてくるんだもん」
「帰り道が一緒なだけでしょっ」
「お前……なんなんだよっ!」
男子は、ゆっくりとこっちに近づいてきた。周りの人たちが「なんだ?」といわんばかりに、こっちを見ている。それでも、私はそんなの気にせず、男子につっかかった。
「最悪! 謝りなさいよ!!」
「誰が謝るかっ、ボケッ」
「ちょちょちょ、やめろって、壮一郎!」
壮一郎と呼ばれた男子が、手をあげようとした瞬間、三井君と本村君がとめにはいった。私は、壮一郎の目がちょっと怖くなって、俯いた。……ううん、ここで引き下がったらダメだ!
「……殴ってもいいけど、先生にいうよ?」
「……っ!! くそっ」
壮一郎は、2人の手をふりほどくと、一目散に走って逃げ出した。
「ったく、逃げた」
「お、おい絵磨! なにやってんだよお前……先生にチクられるかもしれないぞっ!」
「別にうちはなんも悪いことしてないもん……あ」
心配の表情を浮かべる望をよそに、私は、香織のところに近づいた。
「大丈夫? ひどいよね、あの人」
「ん……うん」
香織は、涙を服でぬぐうと、私の手をとって、ゆっくりと立ち上がった。