コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 恋時計 *半実話* ( No.923 )
- 日時: 2011/05/05 19:10
- 名前: 苺羅、 ◆m.d8wDkh16 (ID: xe6C3PN0)
- 参照: ▼ 痩せる!!
第102話
「なんで、来なくちゃいけないの?」
私は、声を低くして久保田に尋ねた。
久保田は「ええからこいや」といっては聞かない。
すると、後ろから色んな人たちが集まってきた。
……あぁもう! なんなの!!
すると、1人の男子が絵磨の方向に、視線を移した。
「っていうかなんで、久保いるんだ?」
「まぢだ! ったく愛可のやつ、水曜は絵磨いないっていったくせに……」
「なにそれ、どういうこと?」
ボソボソ喋っていた2人の会話、耳のいい絵磨が聞き逃すはずがなかった。
絵磨に言い寄られ、2人だけでなく、他の皆も「しまった……」という顔をしている。
「鈴野愛可がなんか関係してるの?」
「あっと……なんでもねぇよ! おい七瀬! さっさと来い!」
すると久保田が、いきなり私の腕を引っ張った。
痛い!!
私は必死で踏ん張ったが、引きずられた。
絵磨が、私の腕を引っ張ってくれている。
4人は多分どうすることもできなくて、唖然としているとおもう。
「やめてって!」
「はよ来いや!」
「もういい!!」
突然、聞き覚えのある声が廊下中に響いた。
私も絵磨も、音楽室の中にいる4人も、周りの奴等も、みんな声のする方向を向いた。
そして、私は目を見開いた。
——愛可だ……。
「鈴野!」
「……もういい! さっきから聞いてれば、あんたら使えなさすぎ! もういいよ!」
「はぁ? んだよそれ、報酬はどうなるんだよ」
「そんなのないし! 早くあっちいけ」
使えない?
報酬?
さっきから、わけのわからない単語が飛び交っている。
久保田を含む集団は、決まり悪そうな顔をして、去っていった。
すると愛可はためいきをつき、壁にもたれかかった。
「あの愛可、報酬ってなに? 水曜は私がいないって、どういうこと?」
「……あんた、水曜塾でしょ」
絵磨と愛可の睨み合いが続いた。
かつて、姫吉怜緒を取り合った、恋敵の2人。
まるでそれが蘇ったかのような、状況になった。
「最近日程変更したんだけど」
「ふーん……そうなんだ……にしても、作戦失敗だわ」
愛可はそういって、俯いた。
作戦ってなんなんだろう……?
そうおもった私に代わり、絵磨が聞いた。
「なんなの、作戦とか意味わかんない、全部説明して」
「……話せば長くなるけど、いい?」
「……じゃあ、中入りな」
絵磨が、音楽室を指差した。
愛可は黙って頷くと、腕を組んだまま、音楽室の中にはいった。
私達も、音楽室の中にはいり、鍵を閉めた。
「そこ座って」
「…………」
「話して」
「……わかった、あのさ、私——」
愛可はいつもより声を低くして、真剣な顔で、私達の顔を見回した。
なにをいうのだろう……私は、唾を飲み込んだ。
「優志と、別れたの」