コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 恋時計 *半実話* ( No.964 )
- 日時: 2011/05/11 19:05
- 名前: 苺羅、 ◆m.d8wDkh16 (ID: xe6C3PN0)
- 参照: ▼ 学校怠すぎてハゲそう(ぇ
第110話
そして次の週の火曜日……——
俺は5時に部活を終えると、誰にもみつからないように公園の隅で愛可と待ち合わせした。
まだ1時間くらいはあるので、そこで近状を話したりして時間を潰した。そしてようやく6時。
俺と愛可は、目を合わせて頷いた。
「健先輩のとこはね、ここから10分あったらつくよ!」
「おう!」
愛可のあとについて、俺は夜道を走った。
すれ違う人の姿もみずに、なにも聞かずに、なにも喋らずに。
すると、走ったので5分程度でたどりついた。
どこにでもあるような、普通の一軒家だ。
「あれっ、ちょっとまって!」
「なんだ?」
先に行こうとする俺の服をひっぱって、愛可が叫んだ。
愛可が目を見開いて、指差す方向には……——
電気がついていた。
「なんで!? なんでいるの!?」
「……くそっ」
俺たちは落ち込みながらも、大声で叫んでいると、突然玄関のドアが開いた。
そこには……極悪、新藤健の姿があった。目つきは鋭く、マスクをしている。
「愛可、外で騒いでなんなんだ? ……ってその隣の奴!」
「健先輩……」
健は、形相をさらに険しくし、俺に近づいてきた。
そして首根っこをつかむと、俺をおもいっきり睨んできた。
「愛可と別れたんじゃなかったのか! お前!」
「…………」
俺は思わず目を伏せた。あららら、こんなはずじゃなかったのに。
まさかの健が在宅という、最悪なパターンだ。
「健先輩、いつもこの時間は友達と会ってるんじゃあ……」
「みたらわかるだろっ、今日は風邪気味だから休んだ!」
健はそういったが、愛可の発言に違和感があったのか、眉間にさらにしわをよせはじめた。
「っていうか、もしかしてお前等俺が家にいない間を……」
「っ!」
心臓が飛び出そうだった。あ〜っ、割と勘鋭いなこいつ。
俺は残念……とおもい、ためいきをついた。
すると健が、またこっちを睨んできた。
「お前と愛可はグルなのか?」
「…………」
「……おい愛可、お前は俺と付き合ってるんだもんな? 違うよな? こいつのこと好きじゃないよな?」
「……健先輩」
言い寄られる愛可は、ついになにかをいう決心をしたらしい。
眉をつりあげて、健を睨むような目つきになった。
「愛可はやっぱり、優志が好きです」
「……愛可」
「……なんだとっ!!」
とたん、健の叫び声が近所に響いた。
愛可はびくっと震えながら、そのばに座り込んでしまった。
びくびく震え、目には涙がたまっている。
愛可は精一杯自分の意見をいえたことで、急に力が抜けたのだ。
「バラしてやる! バラしてやる! お前等の写真!」
「くっだらねぇことしてんじゃねぇよ!!」
また、近所中に大声が響いた。
その声の主は、俺でも愛可でも健でもなく——
「お、お前……」
健の目が泳ぎはじめた。