コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 恋時計 *半実話* ( No.977 )
- 日時: 2011/05/14 00:38
- 名前: 苺羅、 ◆m.d8wDkh16 (ID: xe6C3PN0)
- 参照: ▼ 学校怠すぎてハゲそう(ぇ
第114話
*健先輩*
中3の春、俺たち5人は同じ高校にいくことを約束した。
その高校は、軽音楽部があって、比較的校風がいいところ。
……まぁ、それなりに頭もいいところなんだけど。
「桜、凛子、純也は成績的にいけるとしてさー、うちと健はヤバくね!?」
みんなで遊んだ時、里子がふと口にした言葉だ。
すると、凛子が目を見開いた。
「確かに! あんたら200いくかいかないかだもんね」
「虹ヶ丘は350はないと厳しいだろ」
虹ヶ丘とは、俺たちの志望校の名前。
純也も顔をしかめていた。
「じゃあ、これから勉強がんばろ! 桜凛子純也〜教えて!」
「俺も!」
「しっかたないなぁ〜でもまぁ、がんばろっ」
桜も笑顔でそういった。
それからほぼ毎日、俺たちは勉強に明け暮れた。
まずは、中1の基礎の基礎から学んだ。そこでわからないところがあると、小学校まで戻った。
3人の教え方は意外にうまく、すらすら頭にはいってきた。
でも……心のどこかで、めんどくさいとか思ってたんだと思う。
俺は、すぐに覚えたことは忘れてしまっていた。
——そして、3年最初の本格的なテスト、実力テストがあった。
「きゃあああ! 5計300超えたのとかはじめて!」
「おめでと里子! 勉強したかいがあったね〜」
「おっし! このままもっとがんばろ!」
里子は、自信がついたのかガッツポーズをしてみせた。
すると純也の視線が、俺にうつった。
「そういや、健は?」
「……198」
俺は、成績表の紙をみんなにみせた。
あーあ、恥ずかしい、200すらいってないんだぜ。
みんなは「まぁ次頑張ろう」といってくれた。
しかし、それからも俺の調子はあまりよくなかった。
でも、内申点稼ぎのため、提出物は真面目にやったし、黒染めもしたし、ピアスもはずした。
授業も真面目にきいて、制服もまぁ、先公の前とかではきちんとすることにした。
そして……部活引退を控えた、2学期のある日のことだった。
俺は放課後、担任に呼ばれて職員室へ訪れた。
「……新藤、お前は虹ヶ丘希望だったよな?」
「はい、まぁそうっすね」
すると、担任の顔が急に険しくなった。
「……お前の成績じゃあ、とてもじゃないが、難しいな」
「そうですか」
「さすがにちょっとな……私立単願……という道もあるんだが」
私立……俺みたいな成績でもまぁ、受かるとこはあるらしい。
だが、公立と比べて莫大な料金が必要だ。
俺んちは、父子家庭だし、親父も高収入なわけじゃないし……そんな余裕はなかった。
「いや、私立は考えてません」
「しかしだな……」
「虹ヶ丘希望です」
「…………」
担任はまたまた険しい顔をして、黙ってしまった。
俺はなんだかムカついて、そのまま職員室をあとにした。
なんだよ、なんだよ、なんなんだよ!
これから俺だって頑張ったら、大丈夫……だよな?
そうだ、あいつらに相談しよう。
ちょうどあそこにいるじゃあないか。
俺は走って、4人のもとへかけよった。
「純——」
「俺、先生に褒められた! 虹ヶ丘首席で合格できるかも〜」
「あんた調子のりすぎ〜! うちはね、虹ヶ丘いったら絶対ね……」
4人は、楽しそうに会話していた。
そのとき、おもった。
ああ、俺がいてもいなくても、あんなに盛り上がれるんだ。