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Re:     恋時計 *半実話* ( No.990 )
日時: 2011/05/15 16:32
名前:  苺羅、 ◆m.d8wDkh16 (ID: xe6C3PN0)
参照:   ▼  ドラえもんの「もしもボックス」が超ほしぃ!!






 第118話




 「どうしたの? 急に……」


 里子先輩が、腕を組みながら健先輩に尋ねた。
 健先輩は冷や汗をかいているのか、タオルで拭っている。
 


 「いや……あの……」
 「なにかいいたいことがあるのか?」
 「あ、うん……」




 健先輩は、私に話した事と同じことを話した。
 先輩達は表情をころころ変えながら、健先輩の話を真剣に聞いてる。
 すべて話し終えたとき、健先輩はためいきをついた。




 「ってわけだ」
 「……そっか」
 「……俺、勝手に決め付けてみんなから距離とってた。悲しくて、どうしても愛可だけは手に入れたくて……」
 「責めるなって、俺等のほうこそ、ごめん」




 肩をがっくりとさげてうなだれる健先輩に、純也先輩が言い寄った。





 「健、1人で勉強したくなったのかなとか、俺等の事嫌なったのかとかおもって、連絡しなかったんだ。
 でもそれって……おかしいよな。ごめんな!!」
 「うちらもごめんね」
 


 純也先輩に続き、桜先輩や凛子先輩、里子先輩までもが謝った。
 



 「もしよかったら、一緒に勉強しようぜ! 一緒に虹ヶ丘——」
 「いや、もう遅い。無理だろ……」



 健先輩は諦めモードになっていた。しかし、凛子先輩がそれをフォローした。




 「無理なことないよ。追いつく所まで、追いついてみよう! ねっ」
 「…………」
 「健、うちよりかは頭いいとおもうしさー……2年のころも、うちよりかは点数上だったじゃん」



 里子先輩も、フォローしつづけた。





 「そうか?」
 「そうだよ、ねぇ! できるとこまで……やってみよう?」
 「……っ! よ、よし」




 桜先輩の発言のあと、健先輩は俯いていた顔をあげた。
 そして手をパンッと叩いて、鞄を持った。





 「俺、まぢでやってみるわ」
 「……よしその意気だ! 勉強道具なにかあるか?」
 「……数学のワークならあったきがする」
 「それで充分だ! よっしゃ、戻って勉強だ〜!」




 4人の先輩は、ガッツポーズをしながら、図書館の中にはいった。
 健先輩はくるっと、私のほうに向いた。





 「……香織」
 「あ、はい!」
 「それ、貸して」




 私は、未だに手にもっていた、健先輩の遺書を手渡した。
 




 「俺、高校いって愛可よりもっといい奴みつけて、最高の恋してやるって決めた!!
 ……だから、もうこんなのは必要ない。俺、もうちょっと頑張ってみるよ……」
 「おぉおお! 頑張ってください!」




 私はややテンションがあがって、声が上ずった。
 すると、健先輩はおもいっきり遺書を、ビリビリに破いた。




 とたん、強い風がふいて、紙吹雪が起こった。
 周りの人たちは「なんだ?」といわんばかりの顔で、それをみていた。








 「香織、ありがとな! 俺お前がつけてこなかったら、今頃ここにいなかっただろうな」
 「いえいえ……あの、受験、頑張ってください!」
 「おう、ありがと」





 健先輩はそういうと、微笑みながら図書館へと消えていった。
 私は、未だに舞う白い紙をみて、図書館をあとにした。