コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 氷の中の花 ( No.14 )
- 日時: 2011/03/02 16:16
- 名前: 九龍 ◆vBcX/EH4b2 (ID: VDwmPbKC)
あぁ、何なんだ、もう。
私はそう思いながら、ため息をついた。
今は、昼休み。
クラスメートは体育館で、バスケットボールでもして遊んでいるのだろう。
だが、私は教室に残り、自分の席に座っている。
窓があいていて、白く薄いカーテンがひらひらと風に揺れる。
窓際でカーテンを黙って見つめているルシファーを見て、私はまたため息をついた。
授業前にクラスメートが私に嫌がらせをするたびに、ルシファーは私を助けてくれた。
だが、そのたびに由愛に、ルシファーのことを質問された。
私はその質問に答えるだけで疲れてしまった。
それも、由愛の質問が多すぎるからだ。
ルシファーは皆から質問されていたし、私に対する嫌がらせを止めているから、私より疲れているはずなのに、なんであんな涼しい顔をしているんだろう。
「どうした、悠佳。何やら疲れているようだが」
ルシファーが、私を見ながらそう言った。
私は頬杖をつきながら、ルシファーに由愛のことを話す。
「由愛、あなたにとても興味があるみたい。由愛、ルイになんか言ってた?」
「私はあのような者達の言葉をいちいち聞く気はない」
ルシファーは私の質問に、考える時間もとらずにそう答える。
考える様子もないところを見ると、本当にクラスメート達の質問を真面目に聞く気はないらしい。
なんだかクラスメートが可哀そうに思えて、私は苦笑いを浮かべた。
「あの者達の話をいちいち聞いていたら、どうにかなってしまいそうだからな」
ルシファーが頭を抱えながらそう言う。
私はそんなルシファーを見て、クスッと小さく笑った。
ルシファーは私が笑ったところを見て、苦笑いを浮かべる。
「お前はいいな。無駄なことはななさず、あの者達とは違う。一緒にいていて、とても楽だ」
ルシファーがそう言って、そっと微笑んだ。
作ったものでも、特別なものでもないが、クラスメートにはあのような微笑みは見せない。
いや、見せようともしていない。という方が正しいだろうか。
私がその微笑みを見ていると思うと、なんだか複雑な気持ちになった。
クラスメートに見せないような微笑みを、どうして私に見せるんだろう。
私に見せているあなたの微笑みは、はたして、本物のあなたの微笑みなのだろうか。
そのような考えが浮かんだが、その考えをすぐに頭から打ち消した。
私、私のことを守ってくれる人のことまで疑ってるんだ。
そう思うと、自分が凄く醜いと思えてくる。
「ルイ」
私が名前を呼ぶと、ルシファーは何の感情も感じられないような顔で、私を見た。
「あなたは、私の事をどう思っているの?」
「どうした、突然」
私の質問に、ルシファーは初めて驚くようなそぶりを見せた。
突然このようなことを聞かれたら、誰でも驚くだろう。
だが、彼が私をどう思っているのか、知りたかった。
私を他の人と違う目で見ているのは解っている。
でも、私をどう見ているんだろう?
彼の私を見る目は、優しい。でも、なんだか不思議なものだった。
本当の彼の意見を聞きたいと思った。
「お前は強く、無駄なことはしない。お前を嫌う者達より、優れていると思うぞ」
ルシファーはそう言って、少し心配そうな目で私を見る。
嘘を言っているようには、見えなかった。
「どうした、突然そのようなことを聞いて。お前は、自分が嫌いか?」
ルシファーが、私にそう聞いた。
私はその言葉を聞いて、俯いた。
「解らない」
「解らない?」
私の言葉を聞き、ルシファーは目を丸くした。
私は、自分が嫌いなのかもしれない。
他の人とは違う私が嫌いなのかもしれない。
他の人とは違う面を受け入れたつもりでも、本当は心の奥底で、反発しているかもしれない。
私って、一体何なんだろう。私は、自分をどう思っているんだろう。
そんな疑問が、初めて頭に浮かんだ。