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Re: 氷の中の花 ( No.3 )
日時: 2010/11/05 15:22
名前: 九龍 (ID: nZ60vFmZ)

私は嫌われ者だ。
私には親がいない。親の顔は覚えていない。
母の妹の家族に引き取られ、私はその家族と暮らすことになった。
その家族の人々は、とても優しくしてくれた。
私の義理の姉にあたる、由愛という少女も、私に笑いかけ、相談を聞いてくれる。

そんな私は、由愛とは何もかもが違った。
由愛は可愛くて黒く長い、腰まである髪に、茶色がかった黒い目をしている。
肌はきめが細かくて、背は私より高い方だ。
頭はいいのに少し忘れん坊なところがある。そんな由愛は、誰にでも好かれた。
だが、私はいたって普通の容姿だ。
黒髪のショートカットに、黒い目。
肌はきめが細かい方で、背は小さい。
頭はいい方で、由愛と同じくらい。正義感が人一倍あるといわれた。

私達が言葉を話せるようになり、立って歩けるぐらいになったとき、私が由愛と一緒に保育園に通うことになった。
正直言って、保育園はあまり楽しくなかった。
由愛はすぐに好かれたのだが、私は周りとなじめなくて、友達と言えるような存在は、由愛くらいしかいなかった。
誰も友達がいないというのは、とても寂しかった。誰も、私のようなつまらない人を相手にしようとは思わないらしい。
先生がよく言っていた。

「悠佳ちゃんはなんだか他の子と違うわね。大人びていて、由愛ちゃんとは違う良いところを持ってるわ」

先生はそう言って、幼い私に笑いかけていた。
その時は、その言葉を聞いてもなにも思わなかったが、その大人びた所が、私に友達ができなかった原因の1つだということが、小学校に入学するときに解った。
その後、小学生に入っても、私に友達はできなかった。
何も話さない、他の人と違う。そういう理由で、嫌がらせをされた。
由愛はよく私の相談にのってくれた。私はそれが嬉しかった。
私はこれから中学生になる。
中学生になっても、なにも嬉しくはない。
どうせ、いつまでたっても私は同じ運命を歩まなければいけないんだ。

私の予想は見事に的中した。
中学校に入ると、嫌がらせもエスカレートしてきた。クラスメートは、最近は黒板に悪口をかくのがお気に入りらしい。
黒板の黒に色とりどりのチョークで悪口をかかれるたびに、私はその文字を消して、黒板を元の色に戻す。
嫌がらせをされるたびに、私の心はどんどん傷ついていった。

ある日の夜。いつものように、布団の中で枕を涙で濡らしていた。
そして、泣き疲れて眠りについた。

この夜が、私の運命が変わるすべての始まりだったのかもしれない。