コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 、 マリオネット 【短編集】 ( No.51 )
- 日時: 2011/04/03 12:20
- 名前: そらね ◆ZPJ6YbExoo (ID: n6vtxjnq)
- 参照: もと侑子です。
▼漫画的ドリーマー
体育館の裏。告白シチュエーションの名スポット。
それだから、って告白にこの場所を選んだ訳ではなかった。フラれる可能性があったから、人に知られないために。この場所を選んだ。
——だなんて。そう言い訳してみたいものだ。漫画でよくスポットとされるのが体育館の裏だったりするわけで。
漫画見過ぎな俺としては、そこに選んだ後、後悔が生まれちゃったりして。
影響っての半端無く受けやすい体質をどうにかせねばだなと思うのだ。
結局、直せずにいるけれど。
俺は、彼女と約束した時間よりも3分ほど前に、体育館の裏へと足を踏み入れる。さほど、緊張感は無かった。
紅葉の咲く頃だったので、上履きのまま、暇つぶしと言う名目で、地面に落ちたての綺麗な紅葉の葉っぱを拾い上げて、集めるという地味な作業を黙々としてみる。
先日雨が降ったからか、空気と土が湿っており何だか酸素を吸う時にも、濁ったような酸素を吸うような気分になった。
でもジッサイ、フラれるという可能性は大であったのだ。
俺の初恋相手の若山サンは、クラスでも明るくおとしやかで、物腰の良い魅力的な少女だった。クラスでも学級委員を務めてたり、人をまとめられるという点でも勉強も出来て、欠点は数えられるほどに少なかった。
彼女もまるで漫画的な——……美少女でもあった。
結局、それほどマニアックではないにせよ。俺は漫画的な落ちや天界を何処かで期待しているのかもしれない。
拾い集めた紅葉の葉をじっと見つめていると、湿った土を踏み鳴らす足音が聞こえた。
多分、彼女だ。うわあ、なんか漫画的。
俺はきゅっと唇を結んだ。
足音が近づいてくるにつれて、人影が見え始めて、やがて彼女が見えてきた。
小さく波打った茶色交じりの黒髪。すらりとした足。小さな顔。
うん、絵に描いたような漫画的な美少女だ。
一方、俺はというと。格好つけて、ちょっとだけ親父のワックスを、自分の黒い前髪に塗ってみたり。
馬鹿みたいに小細工を使ってみたりしてみた。
彼女はもじもじしながら、「どうしたの」と尋ねてきたので、俺は覚悟を決める。
彼女を前に、俺は頬を紅潮させて、叫ぶように言う。
「…………えっと、若山さんのこと、好きでした。付き合ってください」
彼女は瞳をまんまるにさせたあと、瞬いた。
その驚きを表す仕草を見つめて、俺は唾を飲む。
彼女は少し俯きかけに、ちらちらとコチラを見つめてくる。
「……わたしも、です。奥山君、お願いします」
そういって、彼女は唇の端を吊り上げて笑った。俺はというと、放心状態になっていた。
あの若山さんが。あの若山さんが俺のことを。俺は一つ落ち着こうと溜め息を吐く。
「……漫画の読みすぎかな、俺」
そう呟いた後、どうしようもなく涙が零れ溢れる。
これが夢じゃありませんようにって願う。夢だったら正夢になれと願うばかりである。
俺は若山さんの手を握る。彼女は恥ずかしそうだったが、どこか嬉しそうでもあった。
「若山さん、これから何処か遠くのお花畑に言って、追いかけっこをしましょう」
「はい……」
にこりと微笑んで、若山さんは頷いた。俺は彼女を引き連れて、学校を飛び出した。
何処か遠くなのだろう、よく分からない場所に花畑があり、俺と若山さんは追いかけっこをした。
その時間はなんて素晴らしいものだったのだろうか。
そのとき、俺の耳元で耳障りな音が聞こえた。
ジリリリリリリ、と騒がしい音が青い空から聞こえた。
まるで、目覚まし時計のような騒音。気が乱れていく。
目覚ましの騒音に気が乱れ、目を覚ました先は俺の部屋の天井で俺のベッドだった。
むくりと、上半身だけ起き上がってみても、雑誌や週刊誌や脱ぎ捨てた靴下やジーンズの落ちた俺の部屋だった。
自分を見つめると、母親に買ってもらった黒いパジャマを着て、目覚ましを覗くと午前7時前。
夢、か。
「……夢オチ、かよ」
なんて漫画的なんだ。
( 俺は漫画的に落ちぶれましたとさ、 )
@END
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:アトガキ
何言いたいのか、分からず短すぎるのを投下。
うーん、僕のことをいっているようにも感じる。
題名は矛盾しているようにも感じながらも、
結構気に入っています。