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- Re: 、 マリオネット 【短編集】 ( No.6 )
- 日時: 2011/04/03 11:27
- 名前: そらね ◆ZPJ6YbExoo (ID: n6vtxjnq)
うひ〜・・・すいません、なかなか来れなくて。
更新します。
:)みすみん
ありがとう!神よ!
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▼ 今なら言える
ギィィ……どこか鈍い音を鳴らして、ドアを開けるとドアベルがカランコロンと鳴る。
その音に気付いた店員はいらっしゃいませ、とにこやかに笑顔を見せて寄って来た。
私もその店員に口元だけだが、微笑み返した。
木製で出来た店内はどこかウッドハウスを連想させ、どこか甘ったるい匂いがしたと思ったら。禁煙席からどこかふんわりと煙草の匂いが漂ってきた。少しばかり眉間に皺を寄せてしまう。
すると、店員はその様子に気付いたのか。すぐに対応するように、何名か聞いてくる。
実に素晴らしい客対応だなあ、と私は感心してしまう。
「一人……ですけど。その連れがいると思うんですが間山って方はいますか?」
「……間山様ですか、少々お待ちください」
そう言って、いそいそと下がっていく店員を見送った後、私は一息溜め息を吐いた。
そうしているうちにすぐに店員が戻ってきた。店に入ったときと同じ、にこやかな笑顔を浮かべている。
「こちらでございます」と店員は呟いて歩き出す。
私はまた、口元で笑みを描いて「有難うございます」と、消えそうなくらいの小さな声で呟く。
店員の背中を見ながら追っていくと、木製のピカピカとしたテーブルの前で止まったと思ったら。
その奥に腰掛けている、茶髪の男性を見て、私は息を呑んだ。
ラフに着たトレーナーの上に軽く羽織ったような上着はどこか暖かそうに見せていた。
きゅっとした美しい線を描いた輪郭に、どこか長投げの残る、瞳が揺らいでいた。
私は唇の端を吊り上げて、こんにちわと呟くと。
彼はどこか驚いたように、瞳孔を少しばかり開いて私を見つめた後、にこりと微笑んだ。
「……鈴乃ちゃん?久しぶり!随分見ない間に可愛くなったね」
「間山先輩、2年ぶりですね」
お互いを褒めあった所で、私は微笑んで彼と反対側のソファーに腰を降ろした。
ふんわりとした感覚で柔らかいな、と嬉しい気持ちが溢れて、自然と口元に笑みを描いていた。
反対側に座る彼は、どこか満足げに頷いていた。
間山先輩、高校生時代とてもお世話になった先輩で、約2年ぶりに逢った。
美男子の類に入っていて、学校でもそこそこ人気があったものだ。
そんな彼に好きな人がいたと噂で聞いたことがあり、
そのことを聞いた時、かなりショックを受けた。
私も間山先輩が好きだったから。
でも、好きだなんて言葉は喉を通って、口から出なかった。
恥ずかしいも何もいえなかった。そうして、時が経って、先輩は卒業。その日は悔し泣きしていた記憶が蘇る。
ふと、彼の手元を見るとコーヒーが湯気を立てており、
彼も来てから数分も立っていないと確認する。
私はメニューの横に置いてあった、ベルスターを押して、店員を呼ぶ。
「コーヒーください。ホットで」
すると、店員は微笑んで「畏まりました」と言い、その場をすっと去ってゆく。
私は正面に向き合って、懐かしい人物と他愛ない会話をし始める。
「2年も経つと変わりますね。先輩は髪、黒だったじゃないですか」
「うん……髪、染めたんだよね。鈴乃ちゃんも綺麗な髪の毛を切っちゃって……性格も明るくなったな」
私は唇の端を吊り上げる。彼はコーヒーに口をつける。
「鬱陶しかったんですよ、それにサッパリしたくて。え、そうですかね?あ、そうだ先輩、彼女出来ました?」
「サッパリだよ。もう一生独身になっちゃうよ!鈴乃ちゃん、俺を婿に貰ってくんない?」
「彼氏じゃなくて婿ですか。それはちょっと嫌ですね。いくら先輩でも……親しき仲にも礼儀あり、ですかね。あってますか?」
「多分、あってるんじゃない?俺、全然諺とかわかんないんだよね。頭良いね、鈴乃ちゃん」
「 あんまり、成績とか良く無かったですよ?初めて、諺なんて使いましたし 」
「えー」と唇を尖らす先輩を見つめて、私が笑っていると、店員は控え目にコーヒーを置いてくれた。
有難うと呟いて、私はコーヒーを啜る。熱々で舌を少しばかり火傷させた。
「あ、私いまなら先輩に言えることあるんです!」
ほう、とどこか面白そうに頬付いている先輩。
それから、頬づきを止めて、コーヒーを啜り、歯を剥き出しにして笑う。
「俺もいまならって奴はあるから、告白するよ。鈴乃ちゃんからね」
「……好きでした、間山先輩が」
ほう、と感嘆の声を上げる先輩。私は鼻で笑ってみる。
「鈴乃ちゃんが大好きでした。……付き合ってください」
( 先輩もですか…… )
→END
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読みにくいかもしれませんが、ご勘弁を!