コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: ◇◆人はそれを恋と呼ぶ◆◇ ( No.14 )
- 日時: 2010/11/07 14:54
- 名前: *ちぇっく* ◆rYQoPja4V2 (ID: CFE7lDA5)
第三話 −信じられない真実−
「ただいまぁ〜っ」
勢いよく家のドアを開ける。
「おかえりー」
そう返したのは、私の姉の如月桃子。
うちは両親が共働きなので、お姉ちゃんに家のきりもりをしてもらっている。
「愛紗、ご飯できてるよー」
私はカバンを玄関に放り投げると、適当に手を洗って
食卓に着いた。
「おー!!オムライスじゃん!」
テーブルの上には、鮮やかな黄色のオムライスと、
プチトマトのサラダが彩りよく盛り付けられていた。
「いっただっきまぁーす♪」
「どうぞー☆」
私はよほどお腹がすいていたのか、わずか10分ほどで一皿ペロリと食べてしまった。
「ごちそうさまでしたー!」
私はさっさとお風呂に入ると、小走りで2階の自分の部屋へ入った。
そして、もう一度あの手紙の文面を思い出してみる。
『生まれるのがあと1分遅ければ、私は存在していたかもしれません』…
「えっと…あと1分遅ければ、存在していた…
うーん、うーん…」
考えれば考えるほどなぜか答えが遠のいていく気がする。
「ちょっと…テレビでも見よ…」
今は夜の8時。
テレビをつけると、『エイプリルフールの歴史』
という番組が放映されていた。
司会者は、今人気絶頂のお笑い芸人だ。
「ん…エイプリルフール?」
何かが引っかかった。
「も、もしかして…っていうか、
絶対違うと思うけど…」
心臓がドクンと脈打つ。
「この手紙の主…4月1日の午後11:59分に生まれて…
『存在する』ということを嘘にされた!?
1分後は、4月2日の午前12:00分だし、
この時点で、もう『嘘はつけなく』なってしまうから
—…」
頭が混乱する。
「でも、そんなことあるワケないし…だいたい、エイプリルフールだからって…。
…でも、ヒントの①と③に当てはまるよね…。
存在自体が『嘘』だから、生きていても、存在してないっていうことになるし!」
《あなたは仮面をかぶった幻なの—…?》
…私はそのままベッドに倒れこんでしまった。
それ以降のことは、覚えていない。
きっと、眠ってしまったんだと思う。
ああ
これも恋と一緒だ
つかめなくて
でも、そこにあって。
実態のないその影は
目の前で静かに揺れて。
《あなたは誰なの?》
曖昧なその言葉は
一晩中愛紗の周りをまわっていた—…