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- Re: ◇◆人はそれを恋と呼ぶ◆◇ ※波兎 狸登場! ( No.34 )
- 日時: 2010/11/23 13:37
- 名前: *ちぇっく* ◆rYQoPja4V2 (ID: CFE7lDA5)
第二章 第六話 -君の失踪-
「あ、愛紗来たー♪」
教室に入った途端、そう言ったのはもちろん玲。
「ねえ、昨日の手紙、わかった?」
「え、うーんと…」
奏太のときのように、私は言葉を濁す。
「びみょーにわかっ…「アタシね、わかったの」
「え!?」
あまりの事の速さに、私は言葉を失った。
「誰?誰?」
「まあまあ、あせらずに!
奏太達が来てからにしましょっ」
そうだ、
もともとは奏太宛ての手紙だったんだもんね…。
私は了解し、コクンと頷いた。
ふと、窓の外に目を向ける。
「そういえばもうすぐクリスマスだねー」
「あ、うん、そうだね…」
急に玲の声のトーンが落ちた。
表情は暗い。
「あれ?どーしたの?」
「ううん、何でもないっ!」
玲は何もなかったように明るく笑った。
「そっかぁ」
「うん…」
この時私は
玲の本当の姿に
気付いていなかったから
あんなことが言えたんだね
やっぱり恋愛って
苦しくて。
悲しい。
人に傷を残して消えてゆくだけ。
でもこの時は
静かに外を眺めていたかった…。
「…おい、寝てんのか?」
「ふぇっ!?」
慌てて後ろを振り向く。
目の前にいたのは、河野だった。
「やだなぁ、立ったまま寝てるわけないじゃん」
「俺様から見てそうだったんだから、
本当は寝てたんだろ」
で・た。
the・俺様!←
「はぁ!?」
「うっせぇなぁ…それよりさ、聞いたか?」
「何を??」
私は半分苛立ちを込めた声で聞き返した。
「今日哉森、休みだぜ」
「ええ?」
私は今度は驚きを込めて聞き返した。
「何言ってんの?私今朝会ったよ!
どーせ寄り道でもしてんじゃないのぉ」
「いや、ホントに奏太休みだけど」
玲がきょとんとした目で言った。
「てか、今朝会ったって、どういうこと—…
…おい。」
河野がいきなり顔色を変えた。
「ちょっと、いや、大分やべぇぞ…」
「な、何…?」
私と玲も恐る恐る聞き返す。
「哉森は…
手紙の主に連れて行かれたのかもしれねぇ。」
「え!?」
「もしかしてアタシ等に手紙のことを言ったから…」
そんな…
奏太も恋愛と同じ…
『幻影』になっちゃったの…!?
「とりあえず、授業サボって、探すか」
河野が私達を見ながら言った。
「え…」
一瞬戸惑う。
…いや、でも。
もしかしたら、もしかしたらだけど
私の恋した人。
見捨てるわけには—…いかない。
「わかった!行こう!」
私が力強くそう言うと、玲はコクンと頷き、
「じゃ、早速今朝奏太を見かけた現場へ行くわよ!」
私たちは窓からピョンと抜け出すと、
現場へ直行した。
(待っててね…奏太…!)
私は登校の時の全速力より、2倍近い速さで走った。
不思議と、苦しくない。
やっぱり、大切な人を思ってるからかな。
きっとそうだろう—…。
その時の空は、青く澄んでいた。
これから起こることを予想させないように—…。