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Re: ◇◆人はそれを恋と呼ぶ◆◇ ( No.47 )
日時: 2010/11/27 12:41
名前: *ちぇっく* ◆rYQoPja4V2 (ID: CFE7lDA5)

第八話 −お助け魔女参上!−


「で。これからどうするの?」
玲がため息交じりに呟いた。

「完全に行き詰っちゃったわよ」

「う〜ん。あ!もしかしたら錠に何かヒントが—…」



…なかった。


いろいろな角度から見てみたけれど、錠にあったのは
鍵をさす鍵穴だけだった。

「奏太…」





《そか、今日は無理すんなよ?》



奏太がいなくなってしまう直前に聞いた言葉。





あのとき呼ばなければよかった。
そしたら奏太は私の横にいたかもしれない…。


完全に止まってしまった。
そう思っていた時—…








「ヤバぁーっ!!」


はるか上空から声が聞こえた。



「ん?」

不思議に思って、空を見上げる。
そこには、現実にはあり得ない情景が広がっていた。






















《人が飛んでいる!》






人は飛べない。
そんな常識が覆された。




女の子が、ホウキに乗って飛んでいる!!!!





「えーーーーーーーーーーー!?」

思わず歓喜の声をあげる。
目を何度もこすったが、見えたものは同じだった。

私の声に反応し、玲と河野もパッと空を見あげた。
二人も「はぁー!?」と眉間にしわを寄せて叫んでいた。

私たちじろじろと興味深く見ていると、
女の子がこちらの存在に気付いた。

「あれ、如月さん!?」

その子はビッグヴォイスで私の名前を呼びながらヒューと急下降してきた。

「こんなところでなにしてんのー?」


こっちが聞きたい。

あなたはいったい何者?
なんで私の名前を知っているの?

私は口を魚のようにパクパクさせていた。
すると、玲がハッと思い出したように言った。




「あなた…浩中さん!?」





「えっ」

私は目をテンにして言った。

「確か、同じクラスの…」

「えへへ、おはよーございます♪」
浩中さんはホウキを置いてニコッと笑った。

彼女はクラスメートの浩中鈴。
超天然のため、クラスでのあだ名は大バカリン。

茶色のカールが、とてもよくにあっている。


「え、でも、そ、空飛んでたけど…」

「あれ?知んなかったぁ??




     私、こうみえて魔女なんです☆」



浩中さんが、かぶっているトンガリ帽子を軽く整えながら言った。





「へ?」

「まだ見習いだけど〜、

   ちょっとした魔法なら使えるよん♪」

今度は得意げに星の杖をクルッとまわしながら言った。

ボンヤリ立ちつくしている私のよこで、玲が言った。

「ところで、さっきなんでヤバイって叫んでたの?」

やっぱり玲は冷静だ。
相手が魔女であろうとなんであろうと動じない。

玲の言葉を聞き、浩中さんがポンと手を打った。

「あ、そうそう、忘れてたぁ。

  昨日夜遅くまで魔法の勉強してたら、

 寝坊しちゃって、学校遅れちゃうーって…。

    あ、もうHR始まっちゃってる系!?」

浩中さんが急にあたふたして言った。

「たぶんもう1時間目にはいってるとおもうぜ」
河野が学校のほうを指さしながら言う。

「えぇ〜…そんなぁ…。急いできたのに〜」

浩中さんがしょぼくれて言った。

「あれ?じゃぁ、なんで如月さんたちがここにいるの?」

浩中さんが今度は急に顔を上げて言った。
相変わらず、表情のアップダウンが激しい。

「実は…」

玲が今までのことをすべて説明した。



「…っていうことなんだけど」

「へぇ〜!おもしろそうだねぇ〜っ!」

浩中さんが目をキラキラさせて言う。
相変わらずの変わり者だ。
こっちは全然楽しくないっちゅーのに…

私が呆れていると、意外な返事が返ってきた。

「…あ、そだ、それ鈴も協力するよ〜☆

   哉森くんは大事なクラスメートだもんっ!」

浩中さんがウインクしながら言った。

「え…浩中さん、ホントに!?」

私は半信半疑で聞き返す。

「うん!学校サボるのなんかばっちこいだよぉ♪


            お助け魔女、参上っ!!」

浩中さんが決めポーズをきめた。

「じゃぁ、新しい仲間も増えたことだし、捜査再開しましょうか」

玲がにこやかに言った。

「そおたくううん、鈴たちがいくからねいい!!!!!」

浩中さんが大空に向かって大声で叫んだ。

でもそんな声も奏太には届かず、すう、と空に吸い込まれていっただけだった。