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Re: ◇◆人はそれを恋と呼ぶ◆◇    ※キャラ〆切ました ( No.66 )
日時: 2010/12/04 18:37
名前: *ちぇっく* ◆rYQoPja4V2 (ID: CFE7lDA5)

*3* 第十一話 −モノクロメモリー

 



あの日、











私はその時の彼氏と一緒にいた。






初めてのデートだった。









すごくあったかくて。







私の弱いところをすべて包み込んでくれるような人だった。










そう、私にとって最初で最後の彼氏になった人だ。




名前は覚えていない。



思い出したくない過去なのかもしれない。


















「なあ、あっちいってみようぜ」


そう言って彼が指差したのは、細い裏道。





「…え?」







私は疑った。





なんでそっちなの?

ツリーはあっちだよ?







でも私は彼の言うとおりしぶしぶ了解した。









今思えば、あの時了解しなければよかった。








でも、その時の私は静かに彼の後をついていった。























サクサクと音の鳴る雪の上を歩くこと—…10分。









「ほら、目隠すよ」






「えっ」







彼は私の目を大きな手のひらで覆い隠した。








「何、何?」


















「…じゃーん」










目を開けると広がっていたのは、大きな夜景だった。





ビルの明かりや、星の明かりがキラキラと煌めいて。











「わぁ…!!」












「これもプレゼント」











そういって彼が渡したのは、トナカイのペンダント。










「つけてみる?」












彼はそっと私の後ろに腕をまわし、ペンダントをつけた。





そして、もう一度私の正面に立つと、






「うん、似合う似合う」











私はもう一度ペンダントを見つめた。









銀色のトナカイの目のところに、ピンクの石が埋め込まれている。








「これ…どうしたの?」







 「給料3ヶ月分とまでは行かないけど…」









彼は照れ臭そうに言った。













「…ありがとうっ」








私は笑ってそう言った。






高校生のカップルならここで抱き合ったりするんだろうけど、その時私たちはまだ中2だったわけで。















「私も…これ」







私は白いカバンからプレゼントのはいった袋をとりだすと、彼に渡した。






それは、赤いリストバンド。










彼はバスケット部だったので、部活でもつけてもらえるようなプレゼントにした。











「わ、すげえ」






「おおげさーw」








彼は早速リストバンドを腕に付けた。






「これ、毎日つけるわ」







「私も、これずっとつけてる」











私たちはお互い笑いあった。







上からは雪がしんしんと降っていた—…。


















「…じゃ、そろそろ帰るか」










そのとき彼の携帯の時計は、夜9時を指していた。
中学生は、ここまでが限度。











「うん、そうだね」







私は少し名残惜しかったが、お母さんたちに心配は
かけたくなかったので、賛成した。









「ほい」







彼はひょいと右手を差し出した。
















生まれて初めての恋人つなぎ。










「えっ…うん!」








私も左手を伸ばした。



























その時。

















私たちは悲しみのどん底に突き落とされることになる—…。