コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: ◆人はそれを恋と呼ぶ◆ ( No.8 )
- 日時: 2010/11/07 13:42
- 名前: *ちぇっく* ◆rYQoPja4V2 (ID: CFE7lDA5)
第二話 −不可能か否か−
放課後、
私はホームルームが終わるとすぐに学校を出た。
まだ4時だというのに、辺りはもう薄暗くなっている。
「ふー、なんなんだろ…」
そんなことをしばしば呟きながら、私は三和公園へと向かった。
「あ、愛紗〜」
三和公園に着くと、玲が待っていた。
横にはなぜか河野もいる。
「あれ?奏太は?」
私は奏太の姿がないことに気付いた。
「さぁ?いいだしっぺのくせに、まだ来ないのよね」
玲も呆れたように首をかしげる。
その時。
「あ、アイツじゃねぇか?」
河野の指差す方向を見ると、奏太がこっちに向かって
走ってくるのが見えた。
「はァ、はァ…、遅くなってごめん!」
息を切らしながら奏太が言う。
「何してたのよ、みんな待ってたんだから!」
玲が幼い子を叱るような口調で言った。
「ごめんごめん、今日みんなを呼びだしたのは
コレのためなんだよ…」
そう言って奏太が差し出したのは、一通の手紙。
「何だ?」
河野は奏太から手紙を奪い取ると、封を切った。
「なになに…」
そこには黒い便せんに赤い文字で、こう書いてあった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
私がだれだか解る?
次のヒントから割り出してね
①私は生きています でも存在していません
②私はあなたたちと同じ、受験生です
③生まれるのがあと1分遅ければ、私は存在していたかもしれません
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「はあ?」
真っ先にそう言ったのは河野。
「生きてるのに存在してないなんて、不可能だろ!」
「でも、単なるイタズラかもしれないし…
ねえ、これ、いつ見つけたの?」
玲が手紙を見つめながら奏太に問う。
「今日の朝、机の中に入ってたんだ…」
「朝…ねえ…」
緊迫した空気が漂う。
「あの…私たちと同じ受験生ってことは、中3なのかな?」
私も意見してみる。
でも、その意見は河野の言葉によってかき消された。
「いや、そうとは限らないと思うぜ。
小6かもしれないし、高3かもしれない。
極端な話、幼稚園児っていう可能性もあるんだ」
「あ、そっか…」
「でも、生まれるのがあと1分遅ければ…って、どういうことかしら?」
そう
そこなんだよね…
『生まれるのがあと1分遅ければ』—…。
「うーん…」
私たちはすっかり謎のループに巻き込まれてしまったようだった。
「まぁ、とりあえず、今日は解散しよう。
家に帰って考え直してみるよ」
奏太がこの緊張した空気を打ち消すように、
解散を宣言した。
「うん、そうだね、もう暗いし」
私も一応賛成した。
「じゃ、残りは各自考えてくるってことで」
今回は珍しく河野も協力的だった。
意外に推理モノが好きだったりして…w
「じゃ、かいさーん」
奏太のその言葉を最後に、私たちはそれぞれの家へと向かった。
うーん…
なんかひっかかるんだよね、
これって不可能なのか否か
あなたは解りますか?
この手紙の主の正体が—…。