コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: “飛野坂 湊のクラス事情” ( No.10 )
- 日時: 2010/11/26 19:25
- 名前: 月芽麻 (ID: H5up09UV)
第四話【世の中金だよ】
十分しかない休憩時間もついさっきのチャイムを合図としてクラス全員が自分の席に着席した。
深野芽君に教えられて座った自分の席。最近出して来たのだろうか?他の机よりは小奇麗な気がした。
…そう言えば、僕まだ教科書無かったんだっけ。
いつも以上に軽い鞄を開けて、今更のような事に気が付く。
——あっ、教科書は隣の森谷にでも貸してもらえ。
一瞬、頼りない担任の言葉が頭をよぎる。
てか、森谷さんって誰!?今回初登場の人!?
「ちょっと。其処の脳内突っ込みさん」
ん?脳内突っ込みさん…さっき突っ込んでたのは僕…って事は、脳内突っ込みさんは僕?
「そうそう。てか、アンタ以外に誰が居るっての?」
気が付けば、僕の隣の席には淡い紫色の髪をした女の子が居た。
「え、えっと。森谷…さん?」
「先生から聞いたんだったら、私以外に誰が居るって言うの?」
「え、あぁ、まぁそうだけど…」
少し曖昧な返事を返す秀。
「そんな事は如何でも良いけど。教科書貸してほしいの?」
早速本題に、切りかかる森谷さん。
「一応、教科書もらってませんから…」
「ふぅん。じゃぁ、百万」
「はぁい…って、ちょい待てコラッ!!何で行き成り、そんな話になるの!?」
行き成り百万を吹っ掛けてきた森谷は怪しい笑みを浮かべる。
「世の中、Gibu and takeよ。教科書貸すから、金頂戴よ」
「それ、かなり強引ぼったくりじゃないですか!?」
金よこせよっ。と、眼で訴えてる森谷さんに全力で突っ込む湊君。
「てか、アンタ特待生なんじゃないの?教科書見なくても問題ぐらいとけるんじゃ?」
「あのですねぇ、其れでも教科書読まなきゃ問題も何も分からないんですよ」
「あっそう。特待生も大変な事ね。…仕方ない、出世払いって事で」
「何でそうなんの!?しかも、出世ってあんたは大人になっても付きまとう気か!?」
「of course。因みに、一年につき十万ずつ増えていく予定」
「あんたは、たちの悪い詐欺師か!?」
所々、真顔で答える森谷に少々突っ込みに切れが無くなりつつある湊君。
「…まぁ、冗談は置いといて。ホレ、教科書見るんでしょ?」
「冗談って…どんだけ根性悪いんですか」
「…何を言ってる?私の心はキュアで純情よ?」
「其れを言うなら、ピュアで純粋だっ!!」
母さん、僕の隣の席の人はたちの悪い詐欺師でした。
…僕は、隣の人とコレからどう友好関係を深めていけば——。
「金くれたら、親友にでもなってやるよ」
…こんな友達、僕は認めたくないです。