コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: お姫様は笑わない! ( No.15 )
- 日時: 2010/11/19 18:36
- 名前: 白銀の夜 ◆/.wGEvSoxI (ID: bQbYMR0G)
二話「森の神」
夜、楽園には戻れないので葉を布団にして寝た。
あまり寒くない。
これぞ自然の力っ!
水は湖があるので大丈夫。
食料も湖の魚を取ればいい。
朝ごはんはそれで決まりだ。
寝たリクシナは横になっただけで寝ていなかった。
隣ではユウジが寝息をたてている。
無理。
横で男が寝ているのに寝れるわけがないだろう。
ほぼ同じ歳だしね。
リクシナはそういうお年頃なのです。
鈍感な男よりも頭が回る回る。
木にもたれて湖を眺めた。
水面に映っている月が歪んでいない。
波紋はたっておらず、綺麗な鏡がそこにあった。
月だけで照らされたここは楽園よりも綺麗で。
触れると壊れそうなほど儚く。
幻想のような現実だった。
黒くなった空に輝く星も。
今なら星座がいくらでも見える。
隣の人も忘れ、それに見とれたリクシナは、疲れを思い出し、崩れるように寝てしまった。
「——っい、おいっ」
誰かの声で目が覚めた。
空は暗く、まだ夜だと知らせる。
「大丈夫か?」
声をかけたのはユウジだった。
さっきまで寝ていたのに。
急にどうしたのか。
大丈夫とは何なのか。
「お前、うなされてたぞ」
ぼーっとした頭で脳を動かすリクシナ。
ちょっと回転が遅いがそこらへんの人より遅れをとらない。
「うなされて、ましたか」
何事もなかったように。
ちょっと何かを思い出したようだが、心にしまっておく。
まだ自分にうなされるような悪夢があったことに驚く。
ああいうのは、とっくの昔に終わったはずなのに。
自分はもう、何もないと知っていたはずなのに。
「何かあったのか」
何か、あった。
というわけではない。
ということにしておこう。
「大丈夫です。すみませんでした」
無表情だが、相手に伝わるように。
大丈夫。
もう、心配はない。
あの時代は終わった。
自分で納得させる。
うなされていた時代は終わった。
悪夢という現実も終わった。
あの、夢は、なかった。
ということにしておこう。
さっきの夢はただの夢…とするわけにもいかないから。
昔の思い出した夢。
ただの。
簡単に終わらしてしまえば。
それでいいんだよ。