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Re: お姫様は笑わない! オリキャラ募集! ( No.17 )
日時: 2010/11/20 00:05
名前: 白銀の夜 ◆/.wGEvSoxI (ID: bQbYMR0G)

ちょっと心配してくるユウジ。

「ほんとに大丈夫ですから」

迷惑っぽく言う。

深夜の森は昼とは違って黒い。
あの、表面を思い出させる。
これは夜のせいだと思いたい。

いまだに心配するユウジを振り払ってさっさと寝た。
今度は男とか気にしない。
それどころではないのだ。

さっきの悪夢の内容。

これで頭の中がいっぱいなのだ。

(——もう、忘れたと思ったのに)

簡単に終わらせればいいのに。
終わらせれない。
次々に思い出す。

記憶の断片。

心の中に突き刺さる。
脳裏に浮かぶ笑い声。
突きつけられる罵声。

悪いのはリクシナか相手か。
あのころは幸せだった。
あのころは。

もう戻れないと知っているからこそ。
後悔もなにもない。
自分がまだ“笑う”という言葉を知っていたころ。

ガラスのように砕いてやりたい。
一生戻らないようにバラバラに。

これでいいといったから。
もう戻さなくていいから。


「——っ!」


頭を撫でられた。

無言のままで。

さっきまであんなことを考えていたからだろうか。


(温かい……)


親にもされたことがなかった。
使用人にはされたことがあったけれど。

それでも愛されてると思ったから。
別にそれでもいいと思ったから。

でも、さ。

ユウジの手が温かく感じられて。
それでも雫が垂れない私はなんなんだろうって。
リクシナは思う。

王家に生まれて、愛情という言葉をもらって。
それで満足してたリクシナ。

それしか分からなかったから。
それしか知ろうとしなかったから。

分からないものだと思っていた。

だからこそ。

今の私ができたのだろう。

心の奥で小さな痛み。