コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: お姫様は笑わない! ( No.64 )
- 日時: 2011/01/27 18:46
- 名前: 白銀の夜 ◆OnuzI5zYIA (ID: bQbYMR0G)
地下までの道のりはそこまで長くなかった。
薄暗くもなかった。
この村か?と思えるくらい明るかった。
たどり着いたのは広い部屋。
そして一つの扉。
全部白で埋め尽くされていた。
その中央で。一人の。女の子が。いた。
白、白白、白白白な少女。
「……ユイ、ユイ!」
リトが叫ぶ。
ユイはそれを見て、笑った。
可愛らしくて、妖艶だった。
少女の、笑いではない。
無邪気そうな少女はこんな笑い方をしない。
「……なんでこんなことをするの」
白の少女は
「おじさんがそう言ってたから」
「おじさん?」
「うん。髪は白くなっちゃったけど、貴族たちに反発するための実験を成功させるためなら、ね?」
「……どういう実験?」
「特殊なガスの実験だよ。子供のほうが実験しやすいって渡されたやつの」
「…俺たちにやったあれか?」
「そうだよ。あれの強力なのをつくるの」
スラスラとなんでもないように言うが、とても大変なことだ。
あれだけでも気絶するのにそれ以上。
子供なら死んでもおかしくない。
「……なんで、そんなことをするの」
「お姉ちゃんには分からないよ。他人に関心がないもん。おじさんは気づいてくれたんだよ、私が寂しいことに。うれしかったもん」
子供らしい答えだ。
だけど
「……ユイは、人殺しの手伝いをするのよ?」
「……貴族に私のお母さんとお父さんは殺されたんだよ!?」
その言葉を聞いて、アヤカの目が微かに開いた。
静かにペンダントに触れる。
「貴族がよくて私はいけないの?いいじゃん。どうせ、あの扉の向こうの子供たち動かないもん」
「……!」
リクシナとアヤカが同時に動いた。
アヤカは一瞬にして、黒い刀をユイの首筋へ。
リクシナはナイフを投げ、ユイの頬を少し掠めた。
ユイは声を出せなかった。
アヤカとリクシナは本気だった。
その後ろでリトがユイで睨む。
「……まさか、この歳で人殺しですか。貴族にもいませんよ」
カツンカツンと靴の音を響かせる。
異様な空気を纏いながら。
「死に、ますか?あなたがいなくなっても誰も困らない。困る両親は他界しているようですし。ていうか、人殺しのあなたを愛しく思う親はいませんね、きっと天国に行っても一人です」
別のナイフを取り出し、ユイの心臓に突きつける。
「年下だからって、やらないとも限りません」
「………っあ、いやだ……」
涙目で訴える。
リクシナはアヤカとアイコンタクト。
アヤカは膝でユイの腹を蹴る。
少し跳んだユイは動かなかった。
きっと精神でも疲れていたはずだ。
リクシナたちは扉を開けた。
そこには横たわっている子供たちとルグエス。
ルグエスは少し意識があるようで、目をこっちに向けた。
リトが指揮をして、地下から地上へと運んだ。
子供たちは一応生きているみたいで、応急処置をすました。
家族の人がリクシナたちに頭を下げる。
そうして、この事件は幕を閉じた。