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Re: お姫様は笑わない! ( No.9 )
日時: 2010/11/07 22:45
名前: 白銀の夜 ◆/.wGEvSoxI (ID: bQbYMR0G)

ちょうどお昼の鐘がなる。

警備交代の時間で、その時だけ外に出られる隙ができる。
それを狙ってリクシナは門を飛び出した。

リクシナが走っている方向は南。
白い町並みが綺麗なシナヴァという町。

遠い遠くない、どちらかと言えば遠い。
とても。
いつもは馬車で行くのだが、歩いていくと何日かかるか分からない。
それでも、外に出たかった。

「ハァハァ……ッ…イッ…」

途中こけて足に血が滲む。
それでも、少しでも遠くに逃げないとすぐに見つかってしまう。

と。

「大丈夫か?」

こけたリクシナに声をかけた。
振り向くと、

「わっ、血がでてんじゃんよ」

一人の少年がいた。


黒髪の少年はリクシナを起こすと、腰を下ろし

「ほら」

リクシナを背負った。

「私は大丈夫です。下ろしてください」

冷たい言葉を放つ。
それでも少年は

「ダメだ。わかんねぇけど誰かから逃げてるんだろ?だったら、その足じゃ無理だ」

言い返せる言葉がない。
足の怪我はどんどんと痛みを増していく。
このまま一人で走れば少年の言うとおり必ず追いつかれるだろう。

仕方なく、リクシナはその少年に体を預けることにした。

「よし、いくか」

少年は走り出した。
走るのが得意なのか、リクシナを背負っても足が速い。

「そういえば、どこへ向かってるんですか」

「ん?え、ああ」

少年は前を向いたまま


「あの森の中」



少年の先には真っ黒な森が広がっていた。