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Re: 音色の旅に祝福を ( No.7 )
日時: 2010/11/23 12:59
名前: 真白 (ID: h9rhVioE)

 ◇◆◇

朝食を食べ終わったあたしは、エミリー姉さんに引きずられながら『ペガサス小屋』へ向かった。
名前の通り、ペガサスを飼っている小屋なんだけど、そのペガサスがあたしのことを極度に嫌っていて、乗ったら振り落されるのがオチ・・・。
それなのに、エミリー姉さんには懐いているんだよ?

「まさか、これに乗って行くんじゃないよね?」

恐るおそる聞いたあたしに、エミリー姉さんはニッコリと笑って答えた。

「もちろんよ!だって、集合場所のフリヤ草原まで歩いて行くのは疲れるでしょ?」
「・・・・う゛・・・」

それはそうなんだけどね。
たしかに、フリア草原まで歩いて行ったら、かなり時間がかかる。エミリー姉さんの言うとおりだよね。

「それとも、何?エリーに乗って行きたくないとか?」
「・・・・・」

エリーというのは、ペガサスの名前。『エミリー』から『ミ』を抜いただけの、とっても単純な名前だけど、そんなこと言ったら・・・口では言いきれないくらい大変なことになるよ。あたしも被害者の1人だからね、よぉく分かるの。

「そ、そんなこと無いよッ!可愛い可愛いエリーに乗って行けるんだもの」
「そうよね」

ほっ・・・。エミリー姉さんが単純で良かった。

小さな鍵で小屋のカギを開けると、中から美しい毛並みのペガサスが現れた。
うん、見た目に騙されちゃダメだよ、エリーが懐いてるのは、今のところエミリー姉さん1人だけだから。

「エリー、悪いけど、フリヤ草原までファナを送って行ってね」

優しく背中をなでながらエミリー姉さんが言うと、エリーは小さく鳴いた。
コイツは、主がいなくなった途端、あたしに怪我をさせようとするんだから、油断ならないのよ。

「じゃ、行ってらっしゃい。頑張ってね!」
「うん、じゃあね」

軽く手を振ると、エリーは飛び立った。