コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: ある日の放課後の魔科学 ( No.1 )
- 日時: 2010/12/31 23:32
- 名前: 遮犬 (ID: fREd0x4b)
同じ日にそれぞれの人間が同じ夢を見る。
これって……ただの夢?
夢じゃなかったら……何なんだ?
「うがっ!」
ひどい衝撃を足先から受け取る。さらにはそのおかげで目眩までする。いや、これは寝ぼけているのか?
目覚まし時計は、鳴っていない。どうやら鳴る前に起きたようで、そして足先の激痛。
この激痛がいくら経っても離れないのだが。
「つ……つった……!」
朝っぱらから痛い思いをするアホ毛の目立つ少年が布団の上で悶絶している姿。
朝から不幸な思いをする高校生……何か聞く限り高校生っぽくないって目をするんじゃない、そこ。
とりあえずパジャマ姿=ジャージはとても変な感じがするので着替えることに。
そして今更ながらして、この少年こと俺の名前は杜坂 木葉(とざか このは)。
何回この名前をバカにされたことか。男なのに木葉って呼ぶのか、とか。
「あー……クソ……」
肩を自分の手で何度か叩き、その後立ち上がって背伸びを行う。
背伸びをやるたびにまたつりそうになるがギリギリのところで毎度やめている。
そういうことだけは達人といえるのだろう。
俺は高校生だが、一人暮らしを始めている。その原因は思い切り母に原因があった。
昔から俺は控えめで、優しくて、気配りも出来るなんといか大和撫子タイプの女性が好みだ。
母はその真逆で……短気ですぐつっかかってくる。こっちがイライラしていると同じように返してくる。
なだめようとせずに、同じようにいきり立ってくる。そんな母とのケンカは毎晩続いていた。
多分自分も反抗期にあたっていたのだろうとは思うが、それとはまた別で色々と合わないことが多かった
そして、ついに高校生となる時に俺は一人暮らしを提案した。
何ともすんなりと母は了解をした。これも勉強の一つになるだろうと。
父親が俺が中学生の時に他界してからは母と姉が家計を支えているという状態だった。
さらには妹までもがいるために俺だけ家族で男という立場である。
そのためかえらく姉やら母は俺に厳しく、勉強をしつこく言ってくる。
そんな毎日は俺には苦痛以外の何物でもなかった。俺はマイペースに生きたいと心から思っていた。
だからだろう、一人暮らしをしたいと思って言ったのは。
狭いアパートで食パンをレンジで焼いている間、俺はせっせと目玉焼きを焼く。
料理は結構な自信はある。それもこれも母・姉コンビのせいなのだが。
レンジの聞きなれた音が聞こえる頃には目玉焼きも焼けており、それを食パンの上に乗せる。
後はコーヒーをといきたいところだが金の節約のためにコーヒーは置いていない。
金は仕送りで来るが、それも生活が出来るであろう、学校生活で困らないであろう必要最低限の量。
(本当……厳しいよな)
肩を落としながらもその少ないお金たちを大事にカバンへ閉まっておく。
この部屋、6畳でユニットバスにキッチンもついたので4万円という値段。
よくは分からないがとりあえず通う学校から20〜30分ほどで行ける所。
そして出来る限り親元を離れた場所に住もうと思った結果がこの部屋にいたるわけである。
そういったお金の計算をしつつも目玉焼きを乗せた食パンを平らげた後、学校へ行く準備をする。
高校生で一人暮らしは、大変なのである。
「いってきまーす……っていっても誰もいないか」
このセリフは毎回言っているような気がしないでもない。
姉はたまに挨拶を返すが、母は「せいぜい勉強してこい」と、嫌味風に言ってくるものだから腹が立つ。
妹だけは優しく「いってらっちゃい、木葉兄ちゃん」と、言ってくれる。それはまるで天使のようで——
(って何かシスコンみたいだああっ!!)
目覚めは足の痛みで悶絶。家を出た瞬間は自己嫌悪で悶絶。何とも忙しい男であろうか。
まだついこの間入学式があったばかりの高校へと10分もかけて歩きで登校する。
何故20〜30分もかかるところを選んだのかというと……。
早くこの付近を慣れないといけないと思ったからだった。
実家からは少々遠い場所にあるので、この町はまだ見たことも行ったこともなかったのだ。
なので高校へ行くルートと、近くのスーパーのルートしかまだ把握出来ていない。
ここら一帯は学生の住まうのが多いアパートだらけの場所で、自分以外にもたくさん生徒はいる。
(理由は俺とは全く違うだろうけどな……)
と、また一つため息を吐くのであった。
冒険とか、はたまたアニメとかの世界に一度は憧れたことはある。
でもこの歳になってよくよく考えると、結構リアルは危ないなとか思ってきはじめた。
夢はきっと叶う。という言葉があるが、それは寝て見る時の夢とはまた違うものなのだろうか。
それは、きっと違うだろう。比喩しているにすぎないだろうとは思う。
俺は校門へと入る。
そこに行き着くまでに桜並木の道を通らなくてはならない。
そういったことからこの高等学校の名前は桜花学園と呼ばれる。
そしてこの何も知らずに来た町が
俺の自由だと思えた放課後(フリーダム学校後)を遥かに凌駕するものとは
そりゃあ、思わないだろ?