コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: ある日の放課後の魔科学 第4話スタート ( No.38 )
- 日時: 2010/12/18 23:18
- 名前: 遮犬 ◆ZdfFLHq5Yk (ID: XvkJzdpR)
- 参照: 話書く順番間違えてしまった…w
私は、少し夢を見た。
ふわふわとした感じで、なんだか空中を舞っているみたい。
目の前には、今はいないお母様と牢屋に閉じ込められているはずのお父様がいる。
そのほかには、私とシヴァンお兄ちゃん。
この4人で、楽しそうに微笑んでいる。
お城の大きなお庭で、お茶をして……。
それは楽しいひと時だった。
でも——お母さんが亡くなられてからは、そんな日々は一瞬にして変わった。
お父様の兄の息子3人を次の国王にしろと言ってきたのです。
今は亡き先代のおじい様は優しく、国民を第一に思う私のお父様の方を国王にしていました。
そのことから兄方はお父様を憎んでいたのです。
「兄の命令は絶対だっ!」
と、兄方様は言ってご子息の内に自らの息子を入れました。
私とシヴァンお兄様は別に何も思わず友達になろうと3人に近づいたある日でした。
「いきがってるんじゃねぇよっ! "孤児"のクセにっ!」
「きゃっ!」
私は、3人から嫌われていました。
3人の内の一番大きな人に突き飛ばされた私は当然の如く尻餅をついてしまい、自然に涙が零れてきました
「うぇぇぇん……!」
「ははっ! こいつ、泣いてやんのっ!」
3人は、私の泣き顔を見ると笑い声をあげました。
とても、とても悲しかったです。友達になろうとしただけなのに。
私は、悲しくなると泣いてしまいます。まだ、弱かったからです。
「うぅ……! お兄様ぁ……!」
「あぁん!? アイツを呼ぶんじゃねぇよっ!」
シヴァンお兄様はこの3人からとても恐れられていました。
そのせいか焦りを生じ、私をぶって黙らせようとした時——
「やめろっ!!」
鋭い一言が響きます。
その声を聞いた瞬間、3人は固まりました。
体的には3人より小柄な銀髪の少年、シヴァンお兄様は私の元へと駆け寄ってきます。
さきほどの声は、やはりシヴァンお兄様でした。
「大丈夫か? 白雪」
「お、お兄様……!」
ギロリとシヴァンお兄様が3人を睨むと恐れをなしたのか多少震えながら言います。
「ち、調子乗ってんじゃねぇぞっ!」
3人は自分達の方が大きな体を持ち、歳も上だというのにシヴァンお兄様には敵いません。
シヴァンお兄様は剣術がとても上手く、エルゲート将軍とよく一騎打ちをするほどです。
そんなお兄様は、私にとっての憧れでした。
いつも守ってくれる、お兄様です。
でも——私は、今のままでいいのだろうか、不安でいっぱいなのです。
私は——孤児なのです。
白い銀世界の中にいた存在。
白い世界の中、雪のように籠の中で大人しく眠るようにいたことから白雪と名づけられました。
孤児の私。本当の王家ではない私は運良く今のお父様に拾われただけ。
それは、現実で、事実なのです。
そんな私が本当の王家直属であるシヴァンお兄様に頼ってばかりでいいのだろうか。
私のせいで、お兄様が傷つくのは絶対に嫌でした。
だから、私はもっと強くなろうとしました。
もっと、もっと。たった一人でも構いません。
ただ、私は王家であることを言い訳にしたくはありませんでした。
本当の王家ではなく、偽りの王家なのだから。
どうか、どうか。私がもし倒れたとしても、お兄様のせいだと思わないでください。
薄く私は目を開けて、そこにいた暖かい温もり。
その少年は必死に私を抱きかかえて、走っている。
——ごめんなさい……木葉。
と、心の中で思っていた。
だけど、ずっとこのままがいいとも思った。
ずっと、私の傍にいて欲しいと思った。
温もりが傍にあるということが、どれほど私の心を溶かしてくれるものなのか。
それは、計りきれないほどの安堵をもたらしてくれる。
お兄様とはまた違った温もり。それをずっと感じていたい。
(——ありがとう……。木葉)
私は、安堵して目を瞑った。