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- Re: ある日の放課後の魔科学 第4話完!学園偏突入! ( No.49 )
- 日時: 2010/12/25 01:11
- 名前: 遮犬 ◆ZdfFLHq5Yk (ID: XvkJzdpR)
「ただいま〜……」
と言っても誰もいないのだが。
寂しい気もしたが今はそんなことよりも、寝たかった。
自分の家たる6畳アパートの床へと倒れるようにして転がり込む。
「ふぅ……」
やけに疲れた。ついでに制服はというと、元の通りの綺麗な状態に戻っていた。
そして時刻。時刻は部活動がようやく終わるぐらいの時間。
つまり、俺が異世界に行ってから時間はさほど経っていないということだった。
聞いた話によると、異世界とこの世界の時間はまるで違うらしい。
さらには異世界と世界がどうたらこうたら……まあ何せ、服は影響されないらしい。
そのシステムに俺は大いに感動した。おかげでクリーニングやら何やら出費が無くて済む。
まだアルバイト収入の安定してない俺にとってはとても助かったのであった。
「俺は何をしてたんだろうな……」
思えば思うほどそう呟いてしまう。
アルバイトは働いてその報酬たるお金を貰うものであって……。
俺が行ったのは果たしてアルバイトかというと答えは否だろう。
何故かって? アルバイトのお金を貰っていないからさ。
これじゃあただのボランティアだと俺は思う。
「はぁ……」
一つ、ため息を吐いて目を閉じる。
すると意識がだんだんと朦朧してきて、静かに眠りに入った。
「——ようこそ。我が放課後部へ」
「——へ?」
ニッコリと微笑むそのおどけたハンサム野郎は俺に手を差し伸ばす。
それに掴まり、俺は素直に立ち上がる。
「え、えーと……?」
何がどうなっているのだか全く分からない。どういう状況なんだ? これ。
「君は入部試験に合格したんだよ。だから、おめでとう!」
と、言ってハンサム野郎はわけも分からず拍手をし始める。
その姿に隣にいた瀬菜はため息をついて頭をやれやれといった感じに横に振っていた。
そうして対応に困っていた時、ゆっくりとハンサム野郎に後ろから忍び寄ってくるツインテールの少女。
その顔は——美しい顔立ちのはずなのだが鬼の形相のような顔により台無しとなっていた。
「何をしとんじゃああああああああッ!!」
気持ちが良いほどハンサム野郎はツインテールの美少女に蹴られて吹っ飛んでいく。
と、言っても俺の方向になのだが。
「はた迷惑だああああッ! ——ぐはぁっ!!」
思い切り俺とぶつかり、その場で俺とハンサム野郎が倒れる。
瀬菜はそんな俺のことなど知らん顔をしてツインテール少女に駆け寄っていく。
「朔夜さんっ!」
「ん……あっ! 瀬菜じゃないっ! 戻ってきてたのね!?」
「はいっ!」
と、人懐っこい表情を瀬菜は朔夜と呼ばれたツインテ美少女に見せた。
(あんな顔も出来るんじゃないか……)
そんな人懐っこい顔を見ていると、可愛いなとは思った。後はその鬼のような内面を治せば文句は——
「何か言った?」
「い、いえ……」
俺の方を向いて微笑む瀬菜。ものすごく怖かったんですけど。冷や汗多量ものですよ!
「あっ! 貴方が杜坂 木葉君ね?」
ツインテ少女は今気がついたかのように俺の元へ駆け寄ってくる。
いやいや、その前に君が蹴り飛ばしたこのハンサム君をどうにかしてくれよ。
「いたた……」
すると、ハンサム野郎がようやく立ち上がる。
何だか、こいつも俺と同じような人種の匂いがしたような……。
「ひどいなぁ、いきなり蹴り飛ばすなんて」
「あんたが雑務サボってこんなとこまで来てるからでしょうが!」
「あはは……どうしても雑務を目の前にすると逃げたくなる症候群で……」
前言撤回。こいつは俺とはまた別の人種のようだ。
そして、ツインテ少女が改めて俺に手を差し伸ばして言い放った。
「私は久遠 朔夜(くどう さくや)。よろしくね?」
「あ、えと俺は——」
俺が自分も自己紹介をしようと口を開いた時
「あー、そうそう。そこのバカの名前も一応。駒貝 白犬(こまがい しらいぬ)っていうの。一応部長ね」
どうやらそれはこの隣で笑いながら頭を照れくさそうにかいているハンサム野郎のことだろう。
それにしても部長? 雑務サボってるとか自己紹介前に聞いたんだが勤まっているのか?
「あ、後私は副部長だから」
多分この朔夜という人がほとんどこなしているに違いないと今確信した。
どうやら結構なしっかり者のようだった。
「えーと……俺は——」
「あ、言わなくていいわよ? もう知ってるから」
そういえばさっき俺の名前を呼んでたな……。俺だけ知られてて、俺は向こうのこと知らないって……。
「入部、おめでとうね」
「——え?」
そしていきなり、自分の手をがっちりと抑えつけられて机の上にある書類にペッタンと。
書類には部活入部希望書と書かれており、俺の指にはいつの間にかインクがついてあってだな……。
「ええええええええッ!!」
いきなり、ていうか強制的に入部させられたのである。
「今日からよろしくね? 木葉君」
笑顔で満足そうに言う朔夜。
「いやいやっ! まだ何の返事もしてないよっ!」
俺は否定しようとするが、書類関連はやったもん勝ちということで——俺は意味分からん部活動に入部することになったのだった。
「い、いや! 俺バイトあるし——」
「ん? あぁ、言ったでしょ? この部活動こそがバイトだから」
「言ってないよっ!!」
初耳も初耳だった。部活動がバイト?
「まあどっちでもいいわよ。とにかく、世界を救うアルバイトよ」
「それってじゃあ……すなわち、活動内容も……?」
「うん。世界を救うということになるわね」
「なんてこったああああああああッ!!」
俺はそのまま、膝から崩れ落ちたのであった。
「ん……」
目が覚める。
電気の光がやけに眩しく感じる。そして視界がいまいち開かない。
だがそれも時間の問題で、すぐさま視界は開けていった。
「寝てしまってたのか……」
疲れのおかげでぐっすりとそのまま睡眠してしまっていたようだった。
にしても、またわけのわからん部に入ってしまったものだ。
働いた分だけお金はあがったりさがったりする? 本当にか?
ただの客寄せ文句だったのかと少々うな垂れた後、ゆっくりと立ち上がって冷蔵庫まで駆け寄る。
そして中からお茶を取り出してコップに注ぎ、一気に眠気覚ましするかのようにして飲み干した。