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Re: マイクテス。—陽光学園放送部活動記録— ( No.10 )
日時: 2010/11/28 18:45
名前: むーみん ◆bbb.....B. (ID: 20F5x0q3)





購買。
俺は精一杯反論したのだが、半ば追い出されたような形で無理やりここにいる。
うちの高校には購買が2つある。一つはどこの学校にもあるようなあの購買。そしてもう一つの購買がほぼコンビニのような形で一階に存在していた。
無論、24時間営業でもなければ、おでんや肉まんがあるわけではない。しかし、弁当やおにぎりなどはもちろん、筆記用具や参考書など必要なものはある程度なんでも揃うため、生徒はよく利用していた。
だがいくらなんでも『ぼくときみのふぉーりんらぶ☆』なんて少女マンガ、高校の購買にあるわけがないだろう。



『一部の生徒からの熱烈な要望により入荷!』



……ありました。ぼくときみのふぉーりんらぶ☆
ちょっと待て、秀先輩ってどんだけ影響力あるんだ。

見つけてしまったからには、仕方なくかごに入れるしかない。
異常なほどに目の大きいきらきらした女の子が表紙になっているマンガをかごに入れるのはとてつもなく恥ずかしかった。
なんとなくまわりを確認してから、まるで万引き犯のように一瞬でかごに入れた。
また、他のものも難なく買うことができ、この購買の品ぞろえのすごさを改めて感じたのだった。
あ、ちなみに抹茶ラテは1.5リットルは無かったため、500ミリリットルを3本買った。


「1235円になります」

いつもここの購買のレジにいる太ったおばさんが、抑揚のない声でそう言った。
ああ、無駄な出費を……。
仕方なく財布から金を出し、レジ袋を受け取る。そして2階にある部室へと急いだ。







「これじゃないわよ! つぶつぶ苺って言ったでしょう!? これはただの苺ポッキーじゃないっ!」

部長はそう言いながらも苺ポッキーにがっついている。
ずいぶん文句を言われているようだが、全て無視。
他の部員も、各々自由に(いや自分勝手に)くつろいでいた。部活の時間なのに。
崚先輩はタピオカ飲みながらパソコンに熱中しているし、秀先輩はもちろんマンガを読んでいる。そして……麗奈先輩は抹茶ラテをカップにも注がずに、直接がぶ飲みしていた。上品なのか下品なのか分からないな、この先輩。

「ほら、買ってきましたよ。作戦会議でしたっけ? やりましょうよ」

「そうだ、忘れてた。そろそろやりましょうか」

やっと、部長が手を止め、俺のもっとも望んでいた言葉を発してくれた。
しかし、隣で何故か崚先輩が右手をスッとあげている。
次にけだるそうに発せられた言葉は、あまりにも衝撃的だった。




「部長、もう下校時刻でーす」

……なに? 下校時刻だと?
そういえば、だいぶ外も暗くなってきている。
まさかとは思うが、この展開は……





「………… 解 散 !」



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・今月の活動内容

 作戦会議と称した時間の無駄遣い

・部費要求額
 
 ポッキー×2、少女マンガ、タピオカ入りココナッツミルク、抹茶ラテ500ミリリットル×3
 以上の購入費として、1375円要求します。


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「ちょっと、なによこの活動記録」

「なにって……事実を書いたまでです」

「こんなんじゃ放送部の評判ガタ落ちじゃない! 事実をもっと美化して書きなさいよ」

「俺は将来ズーム○ンをする男ですよ? 小さいころから嘘を伝えるのは無理なんです。身体が拒絶するんです。じんましんが出るんです」

「書きなおし」

「嫌です」

その直後、英和辞書の角が頭に重くささった。
ちなみに放送部に4月分の部費が入らなかったのは、言うまでもない。