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- Re: 【長編集】灰猫の狂想曲(唄ってみせよう、命の限り、魂の限り) ( No.7 )
- 日時: 2010/12/04 08:05
- 名前: 刻鎖 ◆4PE6.BwxWY (ID: aYwQGfB6)
||組織編 - 会議
大きな建物……まるでどこかのお伽話の城のようなところで、ある会議が行われていた。丸いテーブルを囲んで10人ほどのものが椅子に座り、30代後半くらいだろうか。1人の男がぶ厚い資料を持って話していた。
「アレジア王国より、ジュアイ・ロー、50歳——……」
男はそういって、資料を見ながら何人もの情報……国名、名前、年齢、性別、罪や善、死因を述べていた。その話を聞き、一番奥に座る大きく豪華な椅子に座ったいかにも偉そうな者。黒い布で身を隠すように身体を包み、フードのようにターバンを被った若者は何かをごにょごにょと言っている。
こちらからはよく聞き取れなかったが、9人の者たちははっきりと聞こえたようでメモを軽くとっていた。
「——ルダより、ゼルス・フィーリィ、18歳、男。生前は15人を殺害、13歳の少年に殺された。とのことです」
15人を殺害……それを聞くと、城の広間からは、はあ……というため息が聞こえる。
その30代後半の男のちょうど隣に座っていた老婆も、あきれたようなため息をついた。
(ルダは……もうどうしようもない国になっちまったねえ)
誰も驚くような素振りは見せない。もう、ルダを消したほうがいいのでは、という意見も出るくらいに、ルダの者たちは凶暴で冷酷だということは有名である。
少々のざわめきの中、黒い布で身を包んだ男は冷静に判断を下した。
「——……」
ぼそぼそとしていたため、その声は聞こえなかったが、若者からいちばん離れている席にいた老婆もシャープペンシルを白い紙にはしらせた。
老婆は、〝ゼルス・フィーリィ魔界行き〟とだけ書くと、「さ。もう終わりかい? そんならわたしゃ失礼するよ」と奥の若者に尋ねた。
「ああ」
返ってきたのはそれだけだったが、老婆に続き8人は席を立ち、みな大きな扉からさっさと帰っていった。
丸いテーブルに残ったのは、あの若者だけだった。