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Re: スキだと言えたら  Chapterⅰ ( No.4 )
日時: 2010/12/12 10:15
名前: 美桜 ◆QfbalvjOYM (ID: 2pqBpCaH)

#2

 あの時の記憶がよみがえる。それは、私と藍斗と瑞姫が中一のころだった。私たち三人は幼馴染で、小六までは、いつも一緒にいた。でも、中学校に入ると、三人はクラスが離れ、それぞれに友達ができていた。それでも、私は二人のことが好きで、そして藍斗には小さいころからの恋愛感情は、変わらずにあった。

 私は、藍斗がスキだった。小さい時に出会ってから、ずっと。藍斗とずっといたかった。それが、中一になって叶ったんだ。私は、告白なんてするつもりはなかった。けど、藍斗から言ってくれたんだ。「ずっとスキだった。これからもずっと」って。次の日から私たちは、“カレカノ”になった。毎日が幸せで、幸せすぎて……。

 「瑞姫、おっさきぃ !! 瑞姫も早く彼氏つくってデートしなよ?」

 「むぅ。美維子ずるいぃ……。藍斗よりイケメンな彼氏作っちゃうから !!」
 そんなやり取りを瑞姫として、私は藍斗とデートに行った。中二の時だった。その日は、なにもかもが上手くいくと思っていた。あの時までは-----…。







 「んじゃ、風早は纐纈の隣な」
 と先生。や、待ってくれやい ! こんな感情がこんがらがっているときに !!

 「よろしく !! 美維子♪」
 いきなり呼び捨て !? しかも下の名前って……。どんなに顔が似ていても、性格は藍斗とは違った。私、なに期待してるんだろう? 宮戸藍斗は、私の心の中にしかいない。代りの人間なんて、存在しないんだから……。

 裕人は、やたらと私に話しかけてきた。正直ウザい。しかも担任が「風早に校内を案内してやれ」なんて言うし……。今は、その校内案内の真っ最中。

 「えっと、ここが音楽室でその隣のここが…」

 「なぁ、美維子」

 「…下の名前で呼ぶのやめて」

 「んでだよ〜。それより、美維子朝から悲しい顔してたから、なんかあったのかなぁ、と思って」
 悲しい顔、と聞いて藍斗のことが頭に浮かんだ。私、悲しい顔してたんだ……。気付かなかった。

 「俺、美維子に笑顔におなってもらいたくってさ !!」
 そう言って笑った裕人の顔は、やっぱり藍斗にそっくりだった----------。