コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

#4 ( No.6 )
日時: 2010/12/18 16:37
名前: 美桜 ◆QfbalvjOYM (ID: aUzRFwNt)

#4

 バカ。バカバカバカバカバカバカ。瑞姫の…バカー-----っっ !!! 周りのクラスメートたちが、まるでおもしろいものを見るように、こっちを見てニヤニヤしている。裕人までもが、顔を赤くして、私の方を見ている。誤解ですからね !? 私の意思でこうなったんじゃないから、全部が全部瑞姫のせいよ ! 瑞姫……。今日という今日はただじゃおかないからねっっ !! 

 「瑞姫ちゃん」

 「なぁに? 美維子ちゃん」
 さすがは瑞姫。私が、ちゃん付けや君付けで呼ぶと、たいていの人は私を恐れて逃げ出す。だが、瑞姫も私と同じように、恐れられる存在だ。簡単には怯んではくれない。

 「外で、ゆっく〜り話がしたいなぁ、って」

 「そう。それは奇遇ね。私もそう思ってたの」
 そして、私たち二人は教室を出て行った。






 〜校庭裏にて

 「さっきこと。どういうこと? どうして私を押し倒したりなんかしたの??」
 私は、瑞姫に迫って行って言った。

 「んー。だってぇ、美維子。美維子は裕人がスキなんでしょう?」
 は、はぁ? 顔がだんだんと赤くなってくる。私が、裕人をスキって? 私が藍斗だけそスキだって、瑞姫が一番よく知っているはずなのに。確かに、藍斗と裕人はそっくり。でも、性格はまるで違う。藍斗は、物静かで秀才。沢山の人といることは、めったになかった。でも裕人は、うるさくて馬鹿。人懐っこくて、いつも沢山の人といる。藍斗の方が…絶対良いんだ。

 「もうさ…美維子。いい加減にしてよ」
 瑞姫は---泣いていた。どうして泣くの? 瑞姫より、私の方が泣きたい気分だよ…。あんな恥かかされて………。

 「美維子。私が藍斗をスキだったって、知ってたよね?」
 うん、知っている。心の中だけで、私は呟いた。

 「あと、私が藍斗に告白して、フラれたことも。私、あの時は悔しかったなぁ。でも ! 藍斗のスキな人が美維子って知って、すっごく嬉しかった。悔しい、って気持ちが吹き飛んで、応援したい、ってなれた。だからこそ、藍斗が死んでしまった時は……すっごい辛かったんだ」
 瑞姫は、赤く腫れた目をゴシゴシとこすって、息を整えてからまた、喋り始めた。

 「藍斗が死んでしまったことは、辛かった。けど、悲しんで、落ち込む姿の美維子を見るのも、同じくらい辛かった。でも、少しして美維子は立ち直ってくれた。と思った。けど、違ったんだね」
 瑞姫の目は、さっきとまったく違っていた。-----怒った目をしていた。立ち直ったふりをした、実は今もまだ引きずっている、ということに対して。瑞姫は怒っていた。

 「私、いっつも言ってたよね。『そのまんまじゃ、良い男も見つかんないぞ?』って。でも今日は言い方を変えるね。-----今の美維子は、藍斗がスキだった美維子じゃない」
 瑞姫の言葉は、私の痛いところを突いていた。だから-----耐えられない。

 ダッ !!

 私は後ろを見て走った。耐えられなかった。藍斗のほかにも、私を大切にしてくれる人がいた。瑞姫がいたのに。私は瑞姫の信頼を裏切ってたんだ。ごめん、ごめんね瑞姫。

 「美維子 !? ちょ、何処行く気? 戻ってきてってば !!」

 後ろで瑞姫の声がする。でも後ろを向くことは、今の私にはできなかった----------。