コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- #5 ( No.9 )
- 日時: 2010/12/19 13:40
- 名前: 美桜 ◆QfbalvjOYM (ID: aUzRFwNt)
#5
ここを一歩踏み出せば、私は藍斗のところへ行ける。瑞姫には悪いけど…。きっと、私が逝ってしまった方が、瑞姫は幸せになれる。私は瑞姫を傷つけてしまったから。私を、一番信頼してくれてた瑞姫に、ウソついてたから。二年間も-----ずっと-----瑞姫は私を信じてくれてたのに。だから、私はこのまま足を一歩、踏み出そうと思う。正しいことなのかはわからないけれど、もう-----決めたことなんだ。
裕人。転入してきてくれてありがとう。裕人なんか大嫌いだけど、私はきっと裕人がスキだったんだと思う。ごめんね…ありがとう。
クラスメートのみんな。皆と過ごした今日までの日々は、とても楽しいものでした。私と話してくれてありがとう。とっても、とっても楽しかった。
瑞姫。本当にごめん。本当は、瑞姫は私にいなくなってほしくなんかないと思う。だけど許して。瑞姫みたいな良い子は、私にはもったいなかったんだよ。今の今までありがとう。逝ってしまっても、私は瑞姫が大好きだよ。ありがとう---。
最後に藍斗。今から貴方の元へ行きます。こんなわがままな私を許してね。前のように戻れないことはわかってる。でも、藍斗がいないと、ウソつきっぱなしになるから。本当の私に戻るために、藍斗の元へと逝きます。
「美維子っっ !!」
私を呼ぶ声がして、後ろを振り向いた。そこには、私の方へ向って走ってくる、裕人の姿だった。どうして裕人が…? どうしてここがわかったの?
「ゆ…うと?」
「よかった、間に合った !」
ニッと、裕人がほほ笑む。やめてよ…。そんな笑顔見せないでよ。私、今ここで死のうとしたんだよ? 藍斗が死んだ場所で……。
「わりーけど、佐々木から全部聞いた。-----美維子の彼氏のことも。あ、美維子が俺を押し倒したのは佐々木だったってこともな」
瑞姫、裕人にいたんだ。私と藍斗のこと。と、あのこと。
「そ…っか」
「佐々木が、ここに美維子がいるだろう、って言ってた。えっと、なんて言ったっけ----あ、藍斗だったかな。そいつが死んだ場所だからって。美維子は-----死を覚悟したんだろうからって……。本当なのかよ? ソレ」
やっぱり、瑞姫はお見通しだったんだね。私…敵わないや。どうしよ…涙が出てきちゃった。前には裕人がいるっていうのに…。
「み、美維子 !? ----------美維子、死ぬんじゃんねーよ」
裕人は、私を優しく抱きしめた。できれば、私は裕人から離れたかった。死のうとしてたのが、ものすごく裕人に申し訳なかったから。-----私、本当に裕人のことスキなんだ。藍斗の代わりなんかじゃなくて、裕人として、裕人がスキなんだ。
「ごめん、美維子。お前は俺のことなんて、どうも思ってないんだよな…。でも、俺は美維子のことスキだから」
そう言って、私から腕を離した。裕人、私のことがスキだって言ってくれた…。私は、離れた裕人に抱きついた。
「そんなことないからっ !!」
裕人はビックリしたように、赤い顔で私の顔を見た。
「それ…ホントに?」
「ホントに」
周りからみると、そこには二人とも顔を真っ赤にして抱き合っている光景が見えるだろう。
「美維子、顔真っ赤」
「裕人の方が赤いよ〜」
私たちはそのまま、手を握って学校へと戻って行った---------。
「青春ですなぁ」
どこかで、瑞姫の声が聞こえた気がした。