コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

#10 前編 ( No.34 )
日時: 2011/01/27 07:03
名前: 美桜 ◆QfbalvjOYM (ID: KTcGt8UQ)

#10 前編

 ねぇ、どうして ? 裕人……こっち向いてよ……。やだ、行かないで。もう、私を一人にしないで。大切なヒトを二回も失うなんてやだよ……。

 

 結局、私はあの出来事のあと、裕人と一言も喋らなかった。私は逃げるように家に帰った。辛かったんだ。裕人が信じたのは、私じゃなくて胡桃だった、ということが。
 裕人は藍斗の代わり ? そんなわけないじゃん。私は、裕人っていう人間がスキ。裕人は、どう頑張ったって藍斗にはなれないんだし。

 私は、恐る恐る裕人にメールをおくった。


 『美維子だよ♪ 今日のこと、気にしないでね。胡桃のこと信じないで、裕人は藍斗の代わりなんかじゃないんだからね☆』

 あえて明るい文章を書いた。ホントは、こんなに明るい気分じゃないんだけど……。私は、「送信」ボタンをおす。「送信完了」の文字が出て、私はなんだか肩の力が抜けた気がした。私はそのままベッドへ倒れこみ、眠りに落ちた。









 ----------「美維子」
 
 私を呼び声がする。

 ----------「纐纈」
 
 また誰かが私を呼んだ。でもさっきとはちがう人。
 私はそっと後ろを振り返る。そこにいたのは-----藍斗と裕人だった。

 「どうして藍斗が… ? 死んだんじゃなかったの ? 裕人まで……。どうして二人がここに………」
 私がその言葉を発した時、ふと裕人のことを思い出した。

 
 ----------「俺は……藍斗ってやつの…代り」
 
 頭の中をその言葉だけがぐるぐると回っている。
 違う……違うよ、裕人。

 「纐纈、こいつ誰 ?」
 藍斗が私に問いかける。

 「裕人っていうの。私の---」
 彼氏、って言おうとした。でも、藍斗からしたら、私は二股ってことになる。だって、私は藍斗と別れたんじゃないんだから。

 「彼氏。美維子は俺の彼女」
 裕人が言った。

 「纐纈、これってどういうこと ? 彼氏は僕じゃないの ?」
 藍斗が問いかける。
 や、やめて……。これ以上、私を追い詰めないで……お願いだから…………。

 「美維子 !!!」「纐纈 !!!」








 目が覚めた。やだ、なんて夢見たんだろ…。最悪。裕人だけじゃなくって藍斗まで出てくるなんて………。でも、夢で良かった。
 携帯を見ると、メールを受信していた。もしかすると裕人からかも… !! 携帯を開き、「受信箱」を見る。でも、メールは裕人からではなく、瑞姫からだった。

 『落ち込むな !!! 明日は絶対に学校来いよ !』
 瑞姫らしい、淡々としたメールだった。こんなメールを送られて、学校に行かない人なんているだろうか ? でも、今の私にとっては、明日の学校へ行くかは、裕人の返信次第だった。
 時計を見ると、夜7時。きっと、お母さんたちは夜ごはんを食べていることだろう。私は、ベッドを下りて、一階へと行った。



                    *
 ご飯も食べて、歯磨きもして、お風呂にも入った。夜9時。私が裕人にメールして4時間。返信が返ってこない。きっと-----裕人はバスケ部だし-----部活で疲れているんだ。パーティのあとでも部活行ったみたいだし。そうだよ、きっと返信が返ってくる。『気にしてないよ』って……。

 裕人からの返信が返ってくるまで、私は家族と一緒にテレビを見て過ごした。こうやって、お父さんやお母さん、妹たちと笑いあったのは久しぶりだなぁ…。瑞姫や、裕人と違う温かさがある。もっと早くに気づけていればなぁ、と思う。
 11時になって、お父さんが「もう寝なさい」って言った。私はそのまま2階へ行き、真っ先に携帯を確認した。けれど、裕人からの返信はなかった。ベッドに上がると眠気が襲い、私はそのまま眠ってしまった。








 朝。私は携帯を見た。返信はない。
 今度こそ、この疑問が確信となった。裕人は胡桃を信じた。私じゃなくって、胡桃を信じたんだ。もうすぐ、胡桃は裕人を“モノ”にするだろう。

 私は、1階に下り、お母さんに言った。








 「私、学校休むから」