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Re: スキだと言えたら Chapterⅲオリキャラ・キャラソン募集 ( No.53 )
日時: 2011/02/12 15:50
名前: 美桜 ◆QfbalvjOYM (ID: 8Orx7IlH)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel3/index.cgi

#12

 そんなはずない。-----藍斗が生きているなんて。藍斗は私の目の前で死んでいったんだ。お墓に入るところまで、ちゃんと。だから、さっきのは見間違い。
 そう思いたいのに、どこか期待している私がいる。大丈夫…大丈夫なのに、私は裕人がいるのに。藍斗は思い出の中の一つの大切な人にすぎないんだよ ? -----そう自分に言い聞かせる。

 「っごっめーん !! ちょっとナンパされちってさぁ。二人で乗ってて。これ、アイスおごるからさ ! ね ?」

 「うん、いいよ」
 ……と言わずしてなんとする。断りゃ殺される。それだけだ。
 私と裕人は、ジェットコースターに乗った後、偶然見つけた瑞姫の後を追いかけていた。発案者は裕人だ。私に責任はない。殺されたいなら殺されろ、裕人。

 「なかなか会話弾んでんじゃん、あの二人」

 「ソーデスネー」

 「面白くない ?」

 「アハハハハハハハハハ」
 壊れた。コワレマシタ。恐怖のあまりおかしくなったようだ。

 「あ、私トイレ行ってくるから先行ってて !!」
 逃げよう。うん。

 「あ、じゃあまたメールして !! 場所言うから」

 「了解 !!」
 そして、私は逃げるようにトイレへ走っていった。





 あー、なんかもう最悪。藍斗に似た人見るし、瑞姫のことも……。なんかやだなぁ。とまぁ、そんなこと言ってても仕方ない、か。藍斗が生きてるわけないし、瑞姫の恋活も気になるっちゃ気になるし。
 私は、トイレから出て、裕人にメールを打とうとした、その時。優しい声で、あの懐かしい声で私を呼んだ、誰かがいた。周りを見渡す。トイレの周りの少しの木々、遠くないところにあるアトラクション。どこ…私を呼んだ人はどこに…… ?

 「纐纈、こっちだよ」
 ぱっと振り返る。そう、この声。大好きで、大好きだったあの人の声-----…。

 「藍…斗」
 忘れるはずのない、あの笑顔とあの声。信じることなんてできない。きっとこれは夢だ。でも……こんなリアルな夢なんかあるのかな ? こんなに懐かしい感情…。

 「久しぶり〜纐纈〜」
 ………おい !!! 感動の再会の言葉がこれか !? なにが『久しぶり〜』じゃあっ !!! わかってる、藍斗はこんな性格------超マイペースだって。藍斗と裕人の顔がそっくりでも、全く違うのが、この性格。私、この性格に惚れてたんだ…。
 いや待てよ !? 大事なのはそのことじゃないか !!

 「なんで生きてんの !!??」
 そうだ。これが聞きたかった。

 「いや〜俺、死んだよ」
 わかっとるわ !! 

 「なんか、死後の世界って、天国と地獄だけだって思ってたんだけど、実は違って、天国と地獄の前に、“死者の町”ってところがあるんだ」
 死者の町…… ? 聞いたことないな、そんなの。

 「死者は、そのまちで約十日間過ごすんだ。結構楽しかったぜ、色々便利で。まぁ、そこで十日過ごしたら裁判員が、『天国行き』か『地獄行き』か決めるんだ」

 「へー」
 現実味なさすぎ。ありえんだろ。

 「それで俺は、『一時帰省』になったわけ」

 「は ?」

 「だから、俺は今生きてる」
 ちょっと……。
 マジかよー-----っっ !!!!