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コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 蒼穹、紅く燃えゆ ( No.1 )
- 日時: 2010/12/17 19:40
- 名前: No Ink Ballpoint (ID: uUme72ux)
蒼穹、紅く燃えゆ Episode1
Part1 蒼穹、紅く燃えゆ─The First Part─
五年前。
僕は”世界の終わり”を見た。
焔に抱擁される世界は、世界の終焉と呼ぶに相応しい。
僕は傷だらけの身体を、大地へと寝かせていた。
周りは紅蓮の焔に包まれ、耳に聞こえるのは何かが焼ける音と、阿鼻叫喚の叫びだけ。
ああ…、僕は死ぬんだな…。
意識が遠退いて行く。
身体に感じる痛みも徐々に薄れて行った。
これが、”死”なのか…。
このまま意識が消えれば、僕は何処へ往く…?
天国…?
それとも、地獄だろうか…?
でも、答は出なかった。
何故なら、僕は答を導き出す時間も無く、意識を失ったからだ。
…。
……。
………。
……………?
ふと、浮遊感を感じた僕は意識を覚醒させた。
閉ざされていた瞳が開き、その先に見えたのは、女性の顔。
整った綺麗な顔立ちに、焔すら霞ませるほどの美しさを見せる紅色の長髪。
こういう人こそ、美人、と呼ぶに相応しいのだろう。
僕は、その女性に傷だらけの身体を抱き上げられていた。
彼女は、何処か憂いを帯びた哀しげな表情に、微笑を湛え、
「良かった。貴方を救えて…」
その瞳から涙を零して、そう言った。
其処で、僕の意識は再び闇に消える。
最後に僕が覚えているのは、紅色の髪の女性、そして。
紅く燃える蒼穹だけだった。
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