コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: 空を飛部 ( No.10 )
日時: 2011/01/06 19:51
名前: こるね (ID: mwz5SFMT)

「で、小説の方は進んでいるの?」
今は、放課後。
帰宅するものもいれば、部活をするものもいる。もちろん私——木枯麗華は後者だ。
場所はいつもの空を飛部の部室。そこで私たちは部活の目標である小説を書くこと(主に湊が)に励んでいるんだが、その著者である湊はというと机に腕を預けて伸びていた。
そんな湊を見た私は、どうしても我慢することが出来なくて経過報告を聞く次第だ。
しかし、湊はそんなのお構いなしという感じに微笑みながら教えてくれた。
「小説? いやもう全然進んでるわけないじゃん」
などと言うものだから、私はとりあえず頭を叩いておいた。
「んぐっ!!」
「湊。自分の仕事はちゃんとこなさないと駄目でしょう」
私は、ちょっと強い口調でそう言うと、湊は目に涙を溜めて、叩かれた部分をなでていた。
まぁ、それはそうね。叩いたといっても、手に灰皿をもってだから。
「ていってもさ、なにを書くんだよ? 小説と言ってもいろんなジャンルがあるだろうが」
むっ。確かに言われれみれば。
あの時は、ただ小説を書くしか言ってなかったわね。この私が失態を犯すなんて……。
 と、とりあえず湊のせいにしておけば大丈夫よね?
「そ、それなら、それも考えなさいよ! それが小説家ってもんでしょッ!!」 
「なに無茶いってんだよッ!? 俺、小説家でもなければ好きで著者もやってないんだよ!」
「でも書こうとしているじゃない」
「書かされているんだッ!」
「はぁ〜。ああ言えばこう言うの典型的なパターンね……」
「えっ? なに? 俺が悪いの?」
私は、ため息をつきながら『理不尽だ……』と呟いてる、湊を放っておくことにして教卓に向かって歩き始めた。
教卓の後ろにはホワイトボードあり、もちろん綺麗にペンが並んでいる。
教卓につくと同時にりんごが『遅くなりました〜』と心がが癒されるような柔らかい口調で部室に入ってきた。
「ちょうどいいいタイミングできたわね、りんご。今から小説の趣旨を決めるわよ」
私は、ホワイトボードに小説と大きく書いてその下には律儀にアンダーラインも入れておいた。
どれほど、大事なものなのかを湊にわからせるために。
りんごが教卓の前にある机に座ったのを確認して話を始めた。
「りんごは今来たから分からないと思うけど、小説の趣旨を決めないといけないのよ。どっかの誰かさんが仕事をしないからね」
と、嫌味を含めて私は湊の方に視線をながした。
「へぇ〜、どこの誰なんですか? それは」
りんごが真面目に返答するものだから、湊が唇立てながらすねている。
「へいへい、仕事も出来なくてごめんない。どうせ、俺なんか……」
しかも、椅子の上で体操座りなんてしてるし。
「ほら、すねないの。会議が始められないじゃない」
そう湊にいうと、『すねてないッ!』なんて顔を真っ赤にしながら机を叩いていた。
と、そこでりんごが手をあげてるのに気づいて、私は彼女にどうぞとの意思表示も含めてりんごに向かってうなずいた。
「では、まずはジャンルからきめませんか?」
「まぁ、そうね。それからやるのが無難だわ」
私は、りんごの意見を参考にしてホワイトボードにでっかく書かれた小説という文字の下に、ジャンルと付け足した。
「ではジャンルから決めるとして一人一人何がしたいのか言っていくって事で——じゃあ、湊からでいいや」
「ただでさえ嫌なのに、『じゃあ、でいいや』なんて言われたら言いたいわけないだろ!?」
「それぐらい、いいじゃないの。小さい男ね」
「今日はなんで俺に冷たいんでよ、麗華はッ!」
 「自分の胸に聞いてみればいいじゃない」
そう言うと、湊は本当に自分の胸に手あて考え始めた。
本当は、何もしていないのに。
ただ、私がいじりたくなったから、いじっていただけの事で本当は何もしていないことは私が一番しっている。
だから、そこで湊が『あの時のパンチラが原因か』とか『部室で寝ているときにマジックで顔にほくろを書いたことか』などや、あまつさえ『制服の上からすける下着に興奮を覚えていた事か』などと言いはじめたときには、持っているペンを忍者のごとく額になげつけていたり等はしてないし、それで湊の意識が飛んだなんて事は絶対にない。
ちなみに、私は神の存在を信じていないから神に誓うことが出来ないことは言うまでもないわね。
……それより、なんで会議早々に著者である湊が気絶しているのよ。
これじゃあ、ジャンルどころか話すら出来ないじゃない。


ちなみに、湊が起きるまで顔に落書きして遊んでいたのはみんなの秘密のしてほしい。